元TBSアナ、39歳の私が最近取得した資格とは。北海道でのシングル生活で見つけた“新しい楽しみ”
友人が届けてくれたキクラゲを一緒に食べようという話に
そもそも現在私は北海道の実家で大型犬と年老いた父親と暮らしていますが、家は2世帯住宅で、父は父で生活があり、また食や飲み物へのこだわりがなかなか強い。作りすぎたカレーを父親におすそ分けしようとしても、いらないとはっきり言われることもしばしば。
ということで、料理は単純に自分だけのためにする日が続いています。 これが良くない。 自分だけのために、見た目も味付けもきちんとした料理を作ろうという気がまったく起きないのです。
ここしばらくずっと自分だけのためにカレーを作り、パスタを作り、正直味なんて本当〜にどうでもよく、 でき上がったものを黙々と食べる生活をしておりました。 そうすると…自分の味というものがわからなくなり、味付けの正解がまったく見えなくなっていくばかり。
つい先日、立派な生キクラゲを自宅に届けてくれた某友人。キクラゲと卵の中華炒めを一緒に作って食べようということになり、レシピを調べたところ、「中華スープの素」なるものが必要とのこと。
一人暮らしで中華スープの素なんて、少なくとも私は持っていない! ない調味料に関しては適当にめんつゆか何かでずっとごまかしてきた私でしたが、今回はお客さんがいらっしゃる。慌てて近所のスーパーへ。
中華スープの素を買ってきたものの、分量がどのくらいなのかわからない。 とりあえず味見をしながら、少しずつ少しずつ中華スープの素を加えていき……私的にはオーケーじゃない? なかなか本格的な味じゃない? とセルフゴーサインが出たものをちょっと得意げに友人に出したところ……。
心優しい友人は、「うん……おいしいけど……ちょっとパンチが足りないかも……中華炒めだし……ごめんね」と言って、申し訳なさそうにお醤油を足して食べ始めた始末。
どうやら私は、ここしばらく自分のためにしか料理をしない生活が長引きすぎたせいで、とんでもない薄味人間になっていたようなのです。
ワインのテイスティングで発揮された繊細な舌はどこへ?! どうやらワインがわかるのと料理上手であるかどうかはまったく別問題であるようです……。
これを機会にワインに合う食事作りを趣味にしてもいいかななんて漠然と思ってましたが……やっぱりそれを味見してくれる人間がいないと張り合いが出ないというもの。
自分だけのためにしっかりとおいしいものが作れる人って実はかなり偉いかも。
<文/アンヌ遙香>アンヌ遙香
元TBSアナウンサー(小林悠名義)1985年、北海道札幌出身、在住。現在はフリーアナウンサーとしてSTV「どさんこWEEKEND」メインMCや、情報番組コメンテーターして活動中。北海道大学大学院博士後期課程在籍中。文筆家。ポッドキャスト『アンヌ遙香の喫茶ナタリー』を配信中。Instagram: @aromatherapyanne
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