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「世界陸上」卒業で、織田裕二 57歳の今後は?俳優としてもう一度輝く道はどこにある

織田裕二には、現場で汗をかく役が似合う

モノマネでいじられることを好まないなんてこともあって、親しみのある人というイメージからちょっと離れてしまった。でも、織田裕二は汗をかいて現場百回というような庶民的な役が似合う。
『ガラパゴス』DVD(NHKエンタープライズ)

『ガラパゴス』DVD(NHKエンタープライズ)

NHKの刑事ドラマ『ガラパゴス』(22年)でそれを再認識した。ひとりの青年の死をきっかけにある派遣労働会社の闇に迫る、捜査一課・継続捜査班の刑事は、高級な服を着ているわけではない。厚い手帳をポケットに入れるからスーツが型崩れしてしまうというような人物だ。 老眼鏡をかけて初老感も滲ませながら、コツコツと捜査を続けて意外な真相にたどりつく。誠実さが武器のこの役ではベテラン刑事の渋みが出てきた。

『踊る~』の、いかりや長介みたいな道

ゆくゆくは、『踊る大捜査線』の現場主義の老刑事・和久さん(いかりや長介)に近づくのではないか。織田裕二が2年後に還暦を迎えるにあたり、俳優として輝く道はこれしかない。そんな気がする。愛すべき名優の魂の継承。いま彼は着々とその足場を築いているのではないか。 ちなみにいかりやが97年『踊る~』に参加したときは65歳だった。
いかりや長介

『踊る~』で大ブレイクした頃に出版された、いかりや長介の自伝『だめだこりゃ』(新潮社)

そういう意味で、『世界陸上』はキャスターやアンバサダーという選ばれし者ポジションではあるとはいえ、気取らず、汗をかき、ときに失敗や空回りもしながら、素直な生の声を発する仕事は織田裕二にはうってつけだった。 このような役割を神様に課せられた人なのではないかと思う。歌舞伎で言うところの「ニン」――その俳優に合った雰囲気である。
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2026年に新境地のドラマに
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