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なぜ?「子どもはほしくない」と言う夫に、悩む妻・36歳の決断は……<漫画>

生まれてきた子どもは幸せなのか

 子どもにかけるミカの熱意は増すばかりで、妊活への努力は涙ぐましく、反面シュンは追い詰められていきます。排卵日前後にセックスを要求するミカに、<人を種馬みたいに……>とつぶやき、 <俺よりもまだ存在すらしない子どものほうが大事なのかよ>  と、悲痛な叫びをあげます。  子どもを持つことに関して、シュンはなぜここまで頑ななのか。シュンにはミカがうかがい知れない、トラウマがありました。  幼少期から実家を離れるまで、利己的な両親に翻弄されてきたのです。子どもだった頃に、家庭内の幸せなど味わう余裕もありませんでした。むしろ忘れたい記憶ばかりで、両親+子ども=幸せという予想図が、どうしても描けないのです。  やっとミカに事情を打ち明けるのですが、ミカの出した結論は、切なくも前向きな未来でした。

悲しいのは、夫婦が通じ合えないこと

 子どもがほしい、ほしくない。夫婦の価値観で最大級に難しく、大きな課題のひとつです。 <子どもを持つことに前向きなパートナーだったら、結果としてできなくても構わない。2人でも幸せだし、不妊治療までは望まない>  取材を重ねる中で、グラハム子さんが印象に残った、ほしい側が発した言葉です。子どもを介して問われるのは、夫婦としての絆や、どれだけ相手を尊重できるかということ。  生き方が多様化した現代だからこそ、ひとりひとりの生き方を尊重すべきなのかもしれません。 <ずっと変わってはいけないのは、目の前にいる大事な人と向き合うことだと思います>  最後に綴られた一文は、夫婦だけでなく、さまざまな悩みに直面している人々の胸に、刺さるのではないでしょうか。 <文/森美樹>
森美樹
小説家、タロット占い師。第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『私の裸』、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)、『わたしのいけない世界』(祥伝社)を上梓。東京タワーにてタロット占い鑑定を行っている。X:@morimikixxx
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