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「おもんない、レベル低い」粗品の審査は『THE W』の救世主となったのか? パワハラNG時代に“本音”を言う価値

ほか審査員からも零れた本音

にもかかわらず、バラエティとしての体裁をとるためか司会やサポーター、演出で無理やり盛り上げて進行。その上、2択投票後の審査員の講評も、「どちらも面白かった」「最後まで迷った」と褒めてばかり。明らかにひと笑いも起きなかった芸人さんに対しても、厳しい講評を耳にすることはありませんでした。 しかし、それも去年までのことです。粗品さんが審査員に就任したことにより、ふんわりとした誉め言葉ばかりだった審査に、新しい風が吹きました。
画像:「女芸人No.1決定戦 THE W 2025」(日本テレビ系)公式サイトより

画像:「女芸人No.1決定戦 THE W 2025」(日本テレビ系)公式サイトより

追随するかのように、哲夫さんも、とんでもあやさんに対して「わけがわかりませんでした」とバッサリ。友近さんも紺野ぶるまさんへの評の中で「面白いところを探すんじゃなくて、(紺野さんのネタは)ちゃんと面白い」と、他の女性芸人のネタへの辛辣な感想がポロリと出ていました。 楽しいお遊戯会だった今までの大会とは違い、ちゃんとした賞レースになっていた本年。最終決戦が実績実力十分の3組だったことがそれを表しています。粗品さんがXやYouTubeで「俺がTHE Wを救う」と宣言した通り、近年ではもっとも視聴者満足度の高い大会になったのではないでしょうか。

パワハラに厳しい時代、苦言は賞レースの花?

スパルタ的発想や、カスハラ、パワハラが社会問題となり、他人に対して厳しい指摘や苦言を呈することがしにくくなっているこの時代。一般社会だけでなく、昨今のお笑い賞レース審査の場でもその風潮が現れていました。 SNSによって番組放送後、視聴者から審査員が審査され、批判されることも多くなり、実績のある審査員でも、テンプレのような評しか聞けない賞レースが続いていたことは確かです。
また、バラエティ番組で現役の芸人さんが審査員をつとめることが多くなったこともあるでしょう。番組の空気を壊さぬよう、気遣いし、過去にネタに厳しいダメ出しをされた経験から、後輩に対して自分と同じ思いはさせまいと優しくなっていることもあるかもしれません。 ですが、賞レースで評価を集めるのはむしろ正直な苦言の方なのです。
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視聴者のガス抜きになった、粗品の言語化能力
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