番組内容と時間帯の相性が良くなかった可能性もうかがえる。お笑いでは、フリとオチをしっかり見ていないと、笑うことは難しい。ただ、朝は通勤や通学の準備でバタバタしているため、しっかり見ている余裕はない。
また、バラエティ番組というものは、仕事や勉強で疲れきった、何も考えたくないタイミングで見たくなる。つまり夜だ。一方で、朝は頭が冴えており、情報のインプットなど、頭を働かせるのに最適な時間帯と言っていい。そんな時にただただ楽しいだけの番組を見たい人はどれだけいるのか。リニューアルして情報量を強化した番組側の対応は、むしろ当然だったのではないか。
ここまで、リニューアルの必然性を「朝という時間帯と情報の相性」から紐解いてきた。しかし一方で「とはいえ、そこまで大々的なリニューアルに踏み切るまでもなかったのでは?」という疑問も残る。なぜなら『ラヴィット!』は、視聴率の枠組みだけでは測れない「熱量」を、SNS以外の場でも誇ってきたからだ。
象徴的なのが、番組発の大型音楽イベント『LOVE IT! ROCK』である。2023年から開催しており、2025年には約1万席に対して約15万件の応募が殺到するなど、人気を博している。
今やテレビ番組のマネタイズは、広告収入だけでなく、配信(TVer)の再生数やグッズ販売、イベント興行へと多角化している。「推される番組」としての地位を確立した同番組にとって、世帯視聴率はもはや唯一の正解ではないはずだ。
それでもなお、今回のリニューアルで“情報の厚み”を増し、お笑い色を薄めたという事実は、テレビ局が依然として「リアルタイム視聴層」「視聴率」という呪縛から逃れられていない現実を浮き彫りにしているのかもしれない。
『ラヴィット!』が今後どうなるのかは、今後のテレビ番組のあり方を占う大きなカギを握っている。コアなファンの熱狂を維持したまま、いかにして「視聴率の壁」を突破し、朝のお茶の間に浸透するか。今回の路線変更が、単なる延命措置になるのか、それとも進化のための脱皮になるのか。『ラヴィット!』はいろいろな意味で注目を集めていきそうだ。
<文/浅村サルディ>
浅村サルディ
芸能ネタ、炎上ネタが主食。好きなホルモンはマキシマム ザ ホルモン。