
小学生時代
私は運動が本当に本当に苦手でしたが、冬になると学校林で歩くスキー、いわゆるクロスカントリースキーもやりました。
当時の私はあまりにも下手すぎて「なんでこんな苦行を……」と思っていましたが、あの学校に行っていなければ、私は一生クロスカントリースキーなんて経験しなかったでしょう。
雪山をスキーで登る感覚。下る時の怖さ。真冬の空気の匂い。全部、身体で覚えたんだよな。
春には福寿草やエンレイソウが咲き、秋には落ち葉の匂いがして、自然が「背景」ではなく、生活そのものの中にある体感。そしてたぶん、その6年間が、今の私の感覚を形作ってくれています。
東京に20年住んだ私。東京は刺激的で、便利で、エネルギーに満ちた街。ただ札幌に戻ってきてまず感動したのが、「どこからでも山が見える」ということ。
街を歩いていると、ビルの隙間から遠くの稜線が見える。冬には雪が積もり、夏には濃い緑になる。それだけで、妙に安心し「ああ、生きてるな」という静かな感激がありました。
「山っていいな」「自然って尊いな」という感覚が、ごくナチュラルに自分の中にあるのは、それはきっと、あの時代のおかげ。
一方で、私は当時から本の虫。図書館で毎週のように借りていたのは、なぜか「恐怖の館」だの「心霊写真」だの、そんな類の本ばかりでしたが。
ある日、「学校で一番本を読んだ人」みたいな感じで表彰されてしまったのですが、別に読書家ぶっていたわけではなく、ただ怖い話の続きが読みたすぎただけ……。でも、そんな私を「変わってるね」で終わらせず、好きにさせてくれた自由な空気があり、今思えばそれが本当にありがたかった。