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ジムのイケメントレーナーの前で“羞恥プレイ”【シングルマザー、家を買う/24章】

<シングルマザー、家を買う/24章>

バツイチ、2人の子持ち、仕事はフリーランス……。そんな崖っぷちのシングルマザーが、すべてのシングルマザー&予備軍の役に立つ話や、役に立たない話を綴ります。


(前号までのお話)
職場で体型が「女子プロみたいだね」と言われショックを受けたシングルマザーは、子持ちでも女を捨てたくない、とダイエットを決意。すると、タイミングよくダイエットの体験記事の依頼がきて、生まれて初めてジム通いをすることとなった。

トレーナーは“極上イケメン”



 ダイエットの体験記事と言えど、ジムに数日だけ通って雰囲気で原稿を書くわけではない。しっかりと体験して、それをレポートするという真摯なお仕事だった。ヤラセはまったくない。これは本気で挑まなくては!

 そんな決意を胸にカウンセリングを終え、トレーニングルームに通された私は、てっきり先ほどの美女が私のトレーナーだと思っていた。しかし、Tシャツとハーフパンツに着替えた私の目の前に現れたのは、石川遼くんを3倍くらい爽やかにしたような長身のイケメンだったのだ!

シングルマザー、家を買う/24章「……!!!」

 あまりの衝撃に声が出ない。イケメンだ、これはリアルなイケメンだ!

 普段、仕事でイケメン俳優やアイドルにインタビューをするが、彼らはこちらから見れば完全に“向こう側”の人。言わば商品なのだ。カッコよくて当たり前、立ち振る舞いも接し方もすべてパーフェクト。そんなイケメン俳優と話す機会は山ほどあれど、その時に緊張をすることはまったくない。それは“仕事”という線がちゃんと引かれているからなのだ。それに、芸能人レベルのイケメンは、残念ながら街にはいない。

 それなのに、私の目の前にいるのは、それに匹敵するイケメンなのだ! 初めて接する、一般人の極上イケメンなのだ!!

「吉田さん、こんにちは。これからよろしくお願いします」

 はい、笑顔も100点! これはやばい。惚れてしまう。

不意に訪れた人生最大の屈辱



 そんなイケメンと世間話をする機会がない私は、緊張とは別の意味で、足が震えていた。なぜなら、そのイケメンの片手には体重計があるのだから!

「では吉田さん、はじめに体重を量りましょうか」

 嘘だろ。この絶頂イケメンの前で私の体重をさらすのか……!?

「では、どうぞ(ニコッ)」

 もう逃げられない。

 この体重計に乗らなくては、この仕事の原稿が書けないのだ。そうだ、私は仕事をしに来たのだ、恋愛をしに来たのではない! 愛する娘と息子のために、このイケメンの前で体重を、そして全サイズをさらそうではないか!

 思い切って片足を乗せ、できる限り体重が減るように息を止め(絶対に変化はない)、私は目を閉じた。するとイケメンは「はい。ありがとうございます!」とささっと私の体重をメモした。

 こんな屈辱、過去にあっただろうか……。でも仕方ない、これも仕事のうちなのだ……と思うことだけで必死である。

 その後、間髪入れずにそのイケメンは右手に持ったメジャーを伸ばし、私の二の腕、ウエスト、ヒップ、太ももなどすべてのサイズを測っていく。「女子プロみたいだね」と言われた私の二の腕に……。

 あぁ、これが“羞恥プレイ”ってやつですか……。お母さん。私、今、人生で一番恥ずかしいです。

⇒【後編】「いきなりそんなに痩せたら死ぬ」に続く http://joshi-spa.jp/275300

<TEXT/吉田可奈 ILLUSTRATION/ワタナベチヒロ>

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【吉田可奈 プロフィール】
80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、音楽ライターを目指し出版社に入社。その後独立しフリーライターへ。現在は西野カナなどのオフィシャルライターを務め、音楽雑誌やファッション雑誌、育児雑誌や健康雑誌などの執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘はネットで見かけた名言“死ぬこと以外、かすり傷”。Twitter(@singlemother_ky

シングルマザー、家を買う

年収200万円、バツイチ、子供に発達障がい……でも、マイホームは買える!

シングルマザーが「かわいそう」って、誰が決めた? 逆境にいるすべての人に読んでもらいたい、笑って泣けて、元気になる自伝的エッセイ。

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