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親を入れちゃダメな介護施設を見分けるには?【介護士に聞く】

 40年後、75歳以上の割合は4人に1人と推定されています。ところが、両親や親族、果ては自身もお世話になるだろう介護施設では慢性的な人手不足が起こっており、介護の質の低下が問題視されています。  介護の現場では何が起きているのでしょうか? 後悔しない施設選びのポイントは? 前回に引き続き、介護士歴6年、生活相談員を務めるヤヨイさんに、お話を伺いました。

激務より深刻…心が折れて介護士が離れていく

介護――介護士不足による介護の質の低下について、現場で感じた問題点はありますか? ヤヨイさん(以下、ヤヨイ):人手が足りないと業務に追われるようになり、利用者の気持ちに寄り添う介護から遠ざかってしまうのは確かです。でも、潜在介護士といわれるかたは45万人ほどいるので、働き手がいないわけではないんですよね。介護士が離れてしまう現状が問題なんだと思います。 ――潜在介護士がそれだけ多いのはなぜでしょう? ヤヨイ:多くは人間関係でしょう。命を預かる仕事だからこそ、上司や先輩からの心無い言葉で自信を失くして続けられなくなる介護士は多いです。また、介護保険制度の改正で、売り上げ至上主義の事業所が増えたのも一因と聞きました。  そのようなところでは能力に見合わない利用者を受け入れ、必要な介護もせずに寝かしっぱなしにしていたり、さるぐつわをしておとなしくさせたりするところもあるそうです。そんな現場を目の当たりにして心が壊れてしまえば、戻りたいとは思わないですよね。 ――激務や薄給だけが原因ではないんですね。 ヤヨイ:自信喪失や職場への不信感で退職者が増えれば、残された介護士の仕事量が増えます。そうすると、今度は激務で辞める人も出てきて、環境がさらに悪化するという悪循環を生んでいるんです。矛先が高齢者への虐待に向くこともあります。 ――何かいい改善策はありますか? ヤヨイ:利用者を尊重し、売り上げよりも環境を大切にする事業所が増えることだと思います。今は人員確保に必死で介護の知識のない人でも働けてしまうので、事故も増えています。潜在介護士が戻りたいと思える環境を整えれば、利用者のためにも、介護士のためにもなると思います。
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いい施設は、面談の受け答えで判断できる
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