――現代人はセックスどころか、恋愛そのものから撤退しているんですね。そもそも出会いのきっかけがないとか、自分からモーションを起こせないという悩みもよく聞きます。湯山さんは恋多き人生を歩んできたそうですが、何が一歩踏み出すきっかけだったんですか?
湯山:いやいや、全然恋多き人生じゃないですよ。案外、口だけの人だからさ(笑)。しかし、更年期を過ぎてホルモンが減少してからというもの、突き上げるような性欲自体がなくなった今はっきり言えることは、
恋愛は性欲ありき、ということ。
性欲エネルギーが盛んだったときは、こうして森林さんと普通に飲んでいても、自分の中で欲情のスイッチをいくつでも見つけられたはず。電車に乗れば、目の前に座っている男性全てとセックスする妄想ができましたから。
森林:それはとてもAV男優的な発想ですよ(笑)。男優は、相手の女性がどんな年齢や体型、容姿の場合でもセックスを成立させないといけないので、減点法ではなく加点法で、必死に相手のいいところを見つけて欲情するんですよ。
湯山:恋愛できないと言っている女の人も、それをやればいいんだよね。ロマンチック・ラブの呪縛があるから、自分から性欲を表明するのは恥ずかしいことだと思っていて、その気にさせてくれることを男の方に求めている。
つまりまあ、その気がなくてもまずデートしてみればいい。友情しか感じないと頭で判断していた男が、自分にとってセクシュアルに見える点を見逃さない、という心構え。
森林:とりあえず打席に立てばバットも振りたくなりますよ。
湯山:わははは。この人とならずっと話していられるな、と思う相手で、自然と欲情のスイッチが入ったら自分から行けばいいと思う。スイッチが入らなかったらそのまま帰っちゃえばいいんだから。でも今は、自分も相手もスペックで判断したり、結婚相手として向いているだろうかと身構えてしまったりして、
自分にスイッチが入ったことすら自覚できずにごまかしちゃう人が多いんだよね。