単価の安いデリヘルだけあって、せこいお客さんが来る。安い分回転がいいと思ったら大間違いだ。あたしのように
若いだけが取り柄のような女がうじゃうじゃいる。
みんなお金がなく、その日暮らしをしている。そして、「ホスト狂」「ギャンブル依存症」が多い。

あたしは連勤をしても仕送りをしなくてはいけないので、手元に残るのは月に数万円だ。都会は物価が高いから、家も借りることはできない。
風俗ならお金が稼げると思ったら大間違い。このご時世、容姿や性格に恵まれてないと、風俗で稼ぐことはほとんどできない。でも、あたしのように容姿が悪くても、悪いなりの保障制度があるから1日の給料は必ずもらえる。
あたしは遠くに行く勇気もないから、貧乏なままでいる。一刻も早くこんな生活から抜け出したい。それにはまずあたしが変わらないといけないのだ。
来週、実家に久しぶりに帰ろうと思う。母親には会社を辞めたことは言ってはいない。心配はかけられない。たった1人の肉親なのだから……。
ホテルから出ると春の匂いが鼻をくすぐる。春はすぐそこに来ている。春の足音を聞きながらあたしは、送迎車に乗り込んだ。
<取材・文/藤村綾>