「診断を受けて、自分の特性を理解してからはトラブルが少しずつ減ってきました」と言うCさん。医師やカウンセラーのアドバイスを聞いて、苦手なガールズトークでは無理をしないようにしていると言います。

「カウンセラーさんから“すごく努力しているから、無理にコミュニケーションを取ろうとしなくていいですよ”と言われたのです。臨床心理士から言われると、私は素直なのでそのまま取ってしまう性質があるらしく、専門の方にそう言われるのなら、確かにしんどいし、もういいかなって、少し吹っ切れたところがあります。
それ以来、カミングアウトもしていないのですが、もう友達はいなくてもいいんだって思っています。そういうところで気を使うのが嫌なんですね」(Cさん)
Cさんは診断を受けるまで、グループに入ろうと努力していました。しかし、自分の特性を自覚してからは、無理に付き合おうとせず、自分を理解してくれる人との関係を大切にしようと思ったといいます。また、一人になると考えが整理でき、気持ちが落ち着くとも言っています。
アスペルガー症候群の人は、様々な特性から生活上の困難が生じやすいため、基本的にストレスの多い生活を送りがちです。適切な理解や支援を受けられずいると、ストレスが積み重なっていき、二次的な障害が起こることがあります。

「男女を問わず多いのは、
睡眠障害です。もともと時間の感覚を持ちにくい上に、ストレスによる不眠もあり、生活リズムが崩れがちです。他にうつ病や統合失調症、強迫性障害などの病気も男女ともによくみられます。
また、女性に多い病気として第一に挙げられるのは
心身症です。
胃腸の不調や貧血、疲労感などにより、何度も内科を受診する人もみられます。他に摂食障害やうつ病、不安障害など心の病気も見られます」(宮尾医師)
社会性が育ちにくいと言うアスペルガー症候群の特性が、人間関係などの悩みにつながり、各種の心の病気に関わってくる可能性もあるのです。上記のような症状や、体調不良を感じたら、発達障害に理解のある心療内科などで専門医に相談してみることをお勧めします。
⇒【YouTube】はコチラ ロボットを利用した自閉症スペクトラム障害患者へのコミュニケーション改善治療(宮尾益知医師) http://youtu.be/4Z9ZegbrZE8
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知られざる「女性の発達障害」 vol.3―
<TEXT/ジャーナリスト・草薙厚子>