とはいえ、大喧嘩しても母と娘の関係は変わらないそうです。でも少なくても一方的にバッシングされていた頃に比べて、堂々と母親に「毒親」と言えるようになったと、ゆかりさんは言います。
「救いは、自己愛性人格障害の母親と離婚せずに、受け入れている父親がいることです。ほとんど家事をやらない母に文句もいわずに、自分で食事を作って、母に食べさせています。
父がいるおかげで、正月には兄の家族も私も再婚した夫も、実家で新年のお祝いができますからね」
子供たちにとっては、毒親の母を受け入れている父親の存在が大きいようです。
とはいうものの、そもそも、母親がゆかりさんに当たり散らすきっかけは、父から冷淡にされたことでしたよね。
ゆかりさんが母から罵詈雑言を浴びせられたり、保険金の件でショックを受けていたりした時にも、父は「妻から娘を守る」「娘にいたわりの言葉をかける」や「妻をいさめる」といったことはまったくせず、彼が父親の役割を果たしていたのかというと疑問です。
現在のゆかりさんは、再婚して幸せな結婚生活を送っているとのこと。二度目の夫を母親にも紹介したのも、大喧嘩というステップを踏んで、関係が良くない中でも、相手のパーソナリティについては理解していたこともあるのかもしれませんね。
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シリーズ“モンスターペアレント” vol.3―
<TEXT/夏目かをる イラスト/あらいぴろよ>