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『おっさんずラブ』は今世紀最高のラブコメディだ!その魅力を徹底検証

 今期放送の連続ドラマの中で、もっとも話題をさらった作品といえば、ずばり『おっさんずラブ』(毎週土曜23時15分より テレビ朝日系)でしょう。
「おっさんずラブ」テレビ朝日

「おっさんずラブ」テレビ朝日公式サイトより http://www.tv-asahi.co.jp/ossanslove/

 深夜ドラマ枠ゆえか、視聴率は決して高いとは言えません。しかし最終回まで残すところあと2回となった今も、女性を中心に視聴者の熱は高まる一方。放送される毎に「毎回が神回」「尊すぎる」などと、SNS上でアツい思いの数々が綴られています。その人気の秘密はどこにあるのでしょうか。
『おっさんずラブ』は、女好きだけどモテない33歳のサラリーマン・春田創一が主人公。ある日、その上司である部長の黒澤武蔵と、ルームメイトであり会社の後輩の牧凌太から告白されたことから巻き起こる騒動を描いた、同性同士のラブコメディです。

吉田鋼太郎演じる「ヒロイン」

 公式に「ヒロイン」と銘打たれている黒澤武蔵を演じているのは、重厚な芝居を得意とする吉田鋼太郎です。
 黒澤は、男気あふれる理想の上司でありながら、内面はピュアすぎる乙女なおじさん。想い人である春田を”はるたん”と呼び、甲斐甲斐しく手作り弁当を渡したり、ミーティングと称してデートに誘うなど、その行動は完全に恋する女の子そのもの。
 視聴者ドン引きの可能性もある設定ですが、これを吉田鋼太郎が演じるとアラ不思議。春田を見つめる時の切なげな表情や、2人でいる時の嬉しそうな笑顔にナチュラルに胸キュンしちゃうんです。  特に第4話で春田にフラれた後で食事しながらポロポロ涙する様には「部長を抱きしめてあげたい!」という衝動が抑えきれなくなりました。その姿は、まさにヒロイン以外の何者でもありません。

ライバルはイケメンエリート社員(本性はドSなゲイ)

 そんな黒澤のライバル役が、イケメンのエリート社員で春田と同居中の牧凌太。
 家事も料理も万能で面倒見も良い後輩ですが、本性はドSなゲイ。こちらは林遣都が演じています。  牧を語る上で外せないのは、なんといっても第1話のラストシーン。春田が黒澤に告白されたことを知った牧は、シャワー中の春田に壁ドンし、「巨根じゃダメですか?」という恐るべきパワーワードを発した後でキス。林の端正な顔立ちと大きな瞳が相まって、とても熱っぽく色気のあるシーンになっていました。
 黒澤の乙女なキャラクターとは反対に、牧は男らしさを感じさせつつも自分がゲイであることに対して繊細な人間として描かれています。第5話で、ようやく春田と付き合えるようになったものの「春田さんにとって俺は恥ずかしい存在なんですか?」と問いかけてしまうところからも、彼の中での葛藤が見え隠れします。
 思わず「頑張れ」と画面を通して応援したくなる、苦しいほどの健気さには涙を禁じ得ません。

非リア主人公を演じる田中圭のコメディアン俳優としての才能

 さて、そんな2人から思いを寄せられているのが、田中圭演じる春田創一です。
 営業マンとしての成績は最低、空気読めない、生活能力皆無、服がダサいなど(第2話では辛辣な牧からダメなところを10個挙げられている)、とにかく女にモテない非リアなキャラとして描かれています。  しかし、お人好しで素直な上に、どこか放っておけない憎めない性格で、おそらくその辺りが黒澤と牧ばかりか、幼馴染のちずちゃんのツボにもハマっているのでしょう。
 そして、このキャラを魅力的にみせているのは、なんといっても田中圭のコメディアン俳優としての才能にほかなりません。秒毎にくるくる変わる豊かな表情、体全体で表現するオーバーリアクション。バッキバキに鍛えられた肉体美も良きタイミングで披露してくれるところもニクい。  ともすれば単なるダメ男にしか見えない主人公が、愛される存在として視聴者が納得できるのは、演者が田中圭だからこそだと踏んでおります。
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あえて言おう「今世紀最高のラブコメディ」だと
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