あれから1年、タダシさんとヨシノさんの関係は続いている。
「一時期はちょっと盛りがついてしまって(笑)、三日にあけず会っていましたが妻に『
なんか最近、様子が変ね』と言われてびびりました。それからはヨシノとも話し合って、ゆっくり会うのは月に2回くらいかな。お互いに職場にも家庭にもバレないように細心の注意を払っているつもりです」
とはいえ、タダシさんのスマホの中には彼女とのメッセージのやりとりや写真が入っている。「妻はスマホを見たりしない」と言うが、
夫のスマホを覗き見る妻は少なくない。そういうことに危機感は覚えていないようだ。
「僕は世の中で妻をいちばん信頼しているんです。息子が小さいとき体が弱かったので、妻は仕事を諦めて家に入ったんですよ。今はパートで働いていますが、おそらく外でバリバリ仕事をしたかったと思う。そういう意味では妻には敬意を抱いています。ただ、
お互いに同志ではあるけど男女ではないんですね、もう」
信頼しているのは妻だが、恋しているのは彼女。家族への愛情と、恋人への情熱は異なるものなのかもしれない。
「
今も妻には悪いと思っています。でもこの恋をやめられない。今はそういう状況なんです」
良し悪しを問うつもりはない。これが彼の現状なのだ。
――恋する「不倫男」の胸のうち Vol.1――
<取材・文/亀山早苗>
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【亀山早苗】
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『
復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数