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放送中止のドラマ『幸色のワンルーム』は、そんなに危険な話なのか?

虐待、いじめ、孤独…今風のテーマを詰め込んだ作品

 

『幸色のワンルーム』【公式】7月クールドラマさん(@abc_sachiiro)がシェアした投稿 –

 ところで、過去に誘拐を扱った少女マンガはいくつかあります。 『炎のロマンス』(上原きみ子)は、女子高生が突然拉致されて船で南の国に連れて行かれ、そこで島の女王になるお話です。上原きみ子さんは、時事問題から作品の着想を得る作家です。病院での子どもの取り違えが頻発したころには、取り違えられた主人公の苦悩を描く『舞子の詩』というバレエ漫画を描いています。 『有閑倶楽部』(一条ゆかり)にも、金銭目的で主人公のひとり、悠理が誘拐される話があります。トラブル好きの悠理が誘拐されて大喜びし、犯人に身代金を大幅に値上げさせて誘拐事件を盛り上げます。 『運命の恋人』(宮脇明子)は、高校教師が教え子の女子高生を監禁する物語です。こちらの物語はファンタジーの要素が薄く、リアルで恐い。  また、虐待やいじめをテーマにしたマンガは多数あります。最近のマンガで特徴的なのは、虐待やいじめの行為がテーマではなく、主人公のバックグラウンドとして語られることです。この10年ほどで毒親という言葉が浸透し、児童虐待のニュースも頻繁に取り上げられるようになっています。「大きな事件」ではなく身近な問題として、虐待やいじめが描かれるようになっているのです。  マンガや小説といった創作作品はもともと、社会の中で埋もれている問題を掘り起こしたり、個人の葛藤や時代を象徴する出来事が描かれるものです。主人公は自分の意志を持った個性的なキャラが多い。
 こうした前提を踏まえて『幸色のワンルーム』をみると、虐待、いじめ、孤独といった現代の闇をギュッと詰め込んだ作品だとわかります。作品のファンは、孤独やとまどい、大切に思い合える相手や居場所を見つける喜びに共感していて、「誘拐」というレトリックにこだわる人は少数でしょう。  実際に事件になった事柄を創作物にしてはいけないなら、殺人や詐欺、窃盗など、今現在公開されている多くの作品はNGです。ほかの事件は許されるけれど『幸色のワンルーム』は許されないのでしょうか。もしくは「人を傷つける可能性のあるもの」はすべて禁止するべきなのでしょうか。  とはいえ、もしも実際の事件の関係者が本作によって傷つかれたなら、それは大きな問題ですし、尊重されるべき感情です。
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原作はpixiv、ということの功罪も
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