新潟のアイス「もも太郎」はイチゴ味だけどリンゴ果汁を使用/カレー沢薫の「ひきこもりグルメ紀行」
【カレー沢薫の「ひきこもりグルメ紀行」Vol.26 新潟県「もも太郎」】
みんな気づいていると思うが、今年の夏はメチャクチャ暑い。
場所によっては、40度など、体温を遥かに超えた気温をたたき出しており、もはや全裸で抱き合った方が涼しい、という逆雪山状態である。
こう暑いと食欲が出ない。
そう言いたいところだが、当方何があっても食欲がなくならない、むしろ何かあった時の方が食ってしまうデリカシーに欠ける体質である。
しかし、実際食欲を無くしている人も多いと思うし、私も夏場食べるなら、よく焼いた石とかよりは冷たい物の方がありがたい。
よって、今回のテーマは冷たい食べ物である。
それは助かる。しかし問題はそれが、一気に6箱届いてしまった、という点だ。
もちろん「食いきれない」ということではない。デリカシーがないからいくらでも食える。
だがそれは「溶けては困るもの」だったのだ。よって、すぐにこれを、一般家庭用の冷凍庫に全て収めるか、溶ける前に6箱全部食いきるしかない。
後者はいくら私にデリカシーがないからと言って無理である。何故ならさっき飯を食ったばかりだ。
よって現在、我が家の冷凍庫の内容物は「半分はアイス」という、小学校低学年が見ている白昼夢のような状態だ。
というわけで今回のテーマは、新潟のセイヒョーという会社が作っている「もも太郎」というアイスである。
「アイス」と言ったが、正確にはかき氷を棒アイス状にしたような「氷菓」である。
かき氷も夏に人気の食べ物だが、削った氷の上からシロップをかけるという形式ゆえ、完全に無味の部分があったり、かと言って、あまりにかき混ぜると速やかに溶け「味付きの水」になってしまう。
なかなか采配(さいはい)が難しい、監督の手腕が問われる食べ物なのである。
その点このもも太郎は、すでに氷に味がまんべんなく行き届いている状態であり、監督の指示も「溶ける前に食え」だけという「とりあえずボールを追いかけとけ」みたいな作戦で勝利することができる。非常に食べやすい。
また氷だけに、普通のアイスより爽やかであり、この暑い夏にちょうどいい。毎日何本も食べてしまう。もしかしたら、冷凍庫に入れなくても6箱全部食えたかもしれない。
味は「もも太郎」という名前なので、桃味を想像したかもしれないが「イチゴ味」だ。しかしイチゴ味と言っても、ピンク色をしているだけでイチゴ果汁は入っていない。
しかし、孤独のグルメの井之頭五郎がチェリオを飲んで「このワザとらしいメロン味!」という称賛の言葉を送ったように、この類の無果汁なのに「○○味」を名乗っている物というのは、それはそれで「いい味」なのである。
現に、もも太郎自体を食べるのは初めてだが、食べた瞬間「この全然イチゴ味じゃないイチゴ味食べたことある!」というノスタルジーに包まれた。
逆に最近の○○味は出来が良すぎるため、このような「ワザとらしい魅力」がなくなっている気もする。
「溶けては困るもの」が6箱一気に届いてしまった
新潟の氷菓「もも太郎」はイチゴ味
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