新潟県のローカルスイーツとして第一食品でも製造されている。販売ページより https://store.shopping.yahoo.co.jp/ice-ouan/10000760.html#
この「もも太郎」は新潟県のローカルスイーツだそうだ。
私が父が新潟出身なので、新潟には良く行っていたが、これは見たことがなかった。
今回のセイヒョー以外にももも太郎を製造している会社はあるが、セイヒョー製のもも太郎には他社にはない特徴がある。
果汁を使っているのである。
マジか。「このワザとらしいイチゴ味!」とか言っていた自分が恥ずかしい、アホ舌を露呈してしまった。
しかし、ここで「そう言えばイチゴ味がした」などと言わなくて良かった。何故ならもも太郎に入っているのは「リンゴ果汁」だからである。
今、「殺伐としたスレにもも太郎が!(イチゴ味)リンゴ果汁!!」という某巨大掲示板のアスキーアート風の画が脳裏を駆け巡った。
この、凄まじい矛盾により、もも太郎は、これだけ素朴な氷菓であるにも関わらず「イカれたスイーツ」としても静かに有名なのだという。
何故こんなことになってしまったのか。ネット情報によるといわゆる「メロンパン方式」で、もも太郎の原型は、昔祭りで、桃の木の型にかき氷といちごシロップを入れて売っていたものだった。それ故に「もも太郎」となったそうである。
パイン味・うめソーダ味は販売終了した模様の「ももえちゃん」 株式会社セイヒョー公式サイトより http://www.seihyo.co.jp/goods/momotarou/
しかし、今では「ももえちゃん」という名前の桃味の氷菓も販売されている。
だが、この「ももえちゃん」は「ももえちゃんパイン味」「ももえちゃんリンゴ味」「ももえちゃんうめソーダ味」と味が展開しまくっており、さらなる混乱を巻き起こしているのだ。
それに対し「もも太郎」を冠した製品は未だにイチゴ味のみなのも、混沌(こんとん)に拍車をかけている。
しかし、もも太郎自体は本当に懐かしい素朴な味であり、セイヒョーは大正時代から続く老舗である。
このように「静かな狂気をはらんでいる」ものはまだ各地に潜んでいる気がするので注意が必要だ。
<文・イラスト/カレー沢薫>
【カレー沢薫(かれーざわ・かおる)】
1982年生まれ。漫画家・コラムニスト。2009年に『クレムリン』で漫画家デビュー。主な漫画作品に、『
ヤリへん』『
やわらかい。課長 起田総司』、コラム集に『
負ける技術』『
ブスの本懐』『
やらない理由』などがある