Vol.4 学歴の低い彼女が「かわいそう」で結婚して、離婚・再婚した男性の胸の内
妻を哀れんでいた
救済のための結婚。しかし田中さんは、結局音を上げてしまう。
「自分の意見や言葉がなく、目的意識もなく生きている里美のことが、僕はすごく……嫌だったんでしょうね。うん、嫌でした」
裏を返せば、田中さんが取材冒頭でなにげなく口にした「普通の、か弱くて優しくていい子」という里美さんのパーソナリティが、田中さんにとっては離婚原因のすべてだったのかもしれない。
「哀れむだの、かわいそうだの……。あの時の僕は、里美の人格を尊重していなかったんですよね。今日稲田さん(筆者)とお話しして、ようやく思い至りました」
10年近く前の離婚にも、いまだに新しい発見がある。田中さんは「話のできる相手」である亜希子さんに、この発見をどんな言葉で伝えるのだろうか。あるいは、伝えないのだろうか。
※本連載が2019年11月に角川新書『ぼくたちの離婚』として書籍化!書籍にはウェブ版にないエピソードのほか、メンヘラ妻に苦しめれた男性2人の“地獄対談”も収録されています。男性13人の離婚のカタチから、2010年代の結婚が見えてくる――。
<文/稲田豊史 イラスト/大橋裕之 取材協力/バツイチ会>稲田豊史
編集者/ライター。1974年生まれ。映画配給会社、出版社を経て2013年よりフリーランス。著書に『映画を早送りで観る人たち』(光文社新書)、『オトメゴコロスタディーズ』(サイゾー)『ぼくたちの離婚』(角川新書)、コミック『ぼくたちの離婚1~2』(漫画:雨群、集英社)(漫画:雨群、集英社)、『ドラがたり のび太系男子と藤子・F・不二雄の時代』(PLANETS)、『セーラームーン世代の社会論』(すばる舎リンケージ)がある。【WEB】inadatoyoshi.com 【Twitter】@Yutaka_Kasuga


