欧米人が憧れる「和風」を、私たちのファッションに取り入れる方法
【モードをリアルに着る! Vol.47/小林直子】
西洋の衣服はその発展のために都度、西洋以外の文化の要素を取り入れていきます。それはアジアであったり、アフリカであったり、中近東であったりといろいろです。
それらは民族的という意味のエスニックと呼ばれたり、最近では部族を意味するところのトライバルと呼ばれたりします。
西洋から見たら、遠く東に存在する日本もまたエスニックの1つです。それは異国の文化であり、西洋文化の発展のために取り入れる価値があると考えられているものの1つです。
今回取り上げたアーデムの2018年プレフォールのルックも、そんな日本文化を取り入れた例の1つと言えるでしょう。
このように浮世絵風のプリント、キモノ風の刺繍、ひらがな、カタカナといった文字、日本の帯やキモノスリーブなど、繰り返し提案される日本風スタイルですが、これらが日本で流行ったためしがありません。
いろいろな形で提案されるア・ラ・ジャポネ、つまり日本風をなぜか日本に住む私たちは無視し続けています。
その理由は定かではありません。身近にあるものなので恥ずかしいとか、素敵に思えないなど、いろいろあるでしょうけれども、正確なところはわかりません。
例えば京都や鎌倉など、古都を旅するとき、キモノは着られなくても、和柄や和小物は持っていけるし、街の雰囲気にも合うでしょう。
次に、今流行りつつある御朱印(ごしゅいん)集めのために神社仏閣を訪れる際のコスプレとしてはどうでしょうか。
なんでも世の中には御朱印ガールなるものが存在するとのこと。どうせなら、ジーンズとスニーカーで神社仏閣巡りをするのではなく、どこかア・ラ・ジャポネな雰囲気のある柄や刺繍が使われている服、もしくはバッグや髪飾りなどの小物を取り入れてみるのがいいのではないかと思います。
もちろんそういった日本風の柄や小物を取り入れつつ、そのまま外国の街を旅するのもお勧めです。外国でならば、日本で感じる気恥かしさもないでしょうし、きっといろいろな人から褒められることと思います。
古いところでは、ポール・ポワレが日本のキモノにヒントを得たキモノコートを1906年に発表し、当時の主流であったコルセットを放棄したドレスやコートを次々と作りました。 そして、ポール・ポワレのキモノコートから100年以上たった今も、日本の文化の西洋の衣服への取り入れは続いています。
日本と西洋の異文化ミックスを提案
ロンドンのホランドパークにある京都庭園で撮影されたこのルックは、解説によるとローラ・アシュレーと北斎のミックスだそうで、ドレスの形はローラ・アシュレーだけれども、プリントや刺繍はキモノ風という、今まで存在しなかったような異文化ミックスとなっています。 この日本にいる私たちには考えつかないような異文化ミックスは、ルイ・ヴィトンの2018年のリゾートコレクションでもありました。 バッグに施された大胆な歌舞伎風の絵柄は記憶に新しいのではないかと思います。
日本風スタイルにのってみては?
しかし私たちもそろそろ、西洋の側が提案する、西洋と日本の異文化ミックスにのってみたらどうでしょうか。ハイブランドをデザインするデザイナーたちが、それは格好いいよ、モードだよと言っているのですから、こちらもその提案を受けて立ってもよいのではないかと思います。
けれどもだからといって、すぐにでも北斎柄のドレスを日常的に着たいかというと、たしかにそれは微妙です。 なぜなのでしょう。明日から北斎プリントのドレスで通勤、というわけにはいきません。それはごく普通の日常では着られないような、そんな雰囲気を持っています。 ならば、ごく普通の日常ではない、和柄や和小物といったものが似合うシーンを私たちは考えたらどうでしょうか。
お勧めは、古都への旅や神社・お寺参り、海外でも
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