それから彼の家に行くようになったマキさん。彼から「付き合おう」等の言葉はなかったそうですが、マキさんは10年ぶりに彼氏ができたと思い、幸せを満喫していました。しかし……。
「ある日、いつものように
彼の家にいると突然インターホンが鳴ったんです。モニターには女性の姿があり、時計を見ると夜中の1時………。彼は『家、間違えてるんじゃない?』と言って無視してるし、気にはなったけど、何も聞けませんでした」

そして翌週、マキさんがいつも通り彼の家に行くと何やら騒がしい雰囲気が。彼にはインターホン越しに『ちょっと待ってね』と言われましたが、その後ろから女性の怒鳴り声が聞こえてきたのです。「また後で来るね」と言ってマキさんがその場で待っていると……しばらくしてエレベーターから彼と女性が降りてきました!
「彼は私に気付くと慌てて『帰って!』というような手ぶりを送ってきたのですが、
女性は私に気付き『アンタが新しい女?』とつかみかかってきたんです! そこからはもうめちゃくちゃでしたね……。女性は私に『コイツ、最低だからね!』と言ったあと、彼にもつかみかかっていました。よく見ると
女性の二の腕は血まみれでしたね……。
後日、マキさんは彼にすべて話してもらい分かったのですが、
暴れていた女性は彼の婚約者だったそうです。何かあるとすぐに病む彼女に嫌気がさし、彼はマリッジブルーを理由に毎晩飲み歩いて徐々に連絡を取らなくなっていました。別れてからも彼女からの連絡は止まらず、彼の家に来たところ口論になり、『死んでやる!』と彼女が包丁を出して自殺未遂を起こしたのを病院に連れていくところだったのだとか」
以来、彼からの連絡は来ないそうですが、マキさんはいま何を思うのでしょうか?
「もし私に少しでも気があったら連絡くらいは来ると思いますが、いま思えば遊ばれたんでしょうね。でも、揉め事に巻き込まれるのは面倒だしこれで良かったと思いますね。私も10年ぶりにHできた相手が理想のタイプだったのでまぁいいかな。
これからは40越えてイケメン&独身男性を見たら何かあるな……という目で見ちゃいそうですけどね。今まで通り、長い目で見てゆっくり理想の相手を見つけます!」
理想の相手を探すだけでは恋愛のスキルは下がってしまいます。マキさんにはこれから場数を踏んで、10年分の恋愛を巻き返して欲しいと思いました。
――
シリーズ「結婚を逃す女性のため息」vol.8――
<文/結城>
結城
男女観察ライター。鋭い視点で世の男女を観察し、 夫婦問題からイタい火遊びまで、幅広いエピソードを華麗に紡いでいく。Twitter:
@yuki55writer