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妻子を捨てて「最高の女」と結ばれるはずが…「牛で全部ひっくり返った」

「牛」がすべてを破壊した

「互いに自立したままの気ままな2人暮らしが快適だったので、聡子とは結婚しないまま同棲を続けていました」  当時の滝田さんは事務所を神宮前から表参道に移し、経済的にもかなり満たされていた。 「ただ、聡子が30歳を過ぎた頃から結婚したいという意思を示し始めたんです。5年以上も同棲してりゃ、当然ですよね。僕としては、結婚しても生活は特に変わらないだろうから別にいいかと思い、そのタイミングではじめて彼女の実家がある東北の某県にふたりで行きました。結婚を念頭に置いた両親への顔見せです」 新幹線で彼女の実家へ しかし新幹線の駅を降り、在来線とバスを乗り継いで聡子さんの実家に到着した滝田さんは呆然としたという。 「牛がいるんですよ!」  聡子さんの実家の隣に牛小屋があったのだ。そして驚くべきことに、滝田さんはこの「牛」のせいで、聡子さんと破局したのだという。 「だって、牛ですよ? 繁殖用の牛って見たことありますか。顔がこーんなに大きくて(と手振りで見せる)、モーッて鳴くんです」  筆者は正直、滝田さんが一体何を言っているのかわからなかった。実家の隣に牛がいるから、彼女と別れる? 意味がわからない。 「生理的に、無理なんです……ぼくたちの離婚 Vol.7 生まれも育ちも東京の滝田さんは、昔から「のどかな田舎の風景」「自然豊かな山間部」「ひなびた雰囲気の温泉地」などが苦手だったという。旅行で訪れた日本人の多くが「ああ、いいねえ」と口にし、大半の人が癒やしや和みを見出すこのような空気を、彼は生理的に受け付けないのだ。滝田さんは、山と田んぼしかなく、夜は明かりが一切灯らない聡子さんの生まれ故郷を、はっきりこう形容した。 「地獄です。こんなところで人間が生きてるなんて、信じられない。特に牛は無理……」  かなり偏った感性である。が、そうだとしても、別に滝田さんがこの地域に移り住んで自然に囲まれ、生活圏内に牛が入ってくるわけではない。聡子さんと結婚して実家に帰省するにしても、年に1度来るかどうかではないか。その時に一瞬視界に入るだけの「牛」が、なぜそこまで嫌なのか。 「年1でここに来るのも無理だし、牛という属性につながっている聡子を受け入れることはできないとも思いました。彼女は、僕が地獄だと思うあの風景、あの環境、そして牛という存在に馴染んでいる。彼女は“これ”が普通だと受け入れている。それが……無理でした」
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言語化できない不快感
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