また美味いだけでなく「でかい」。
下町の食べ物として「でかい」「安い」ははずせないポイントらしく、たぬき一つでもかなりの大きさであり、それが箱にずらっと並んでいる様は迫力がある。
一瞬「食べきれるか?」と思うが、前述通り思った以上にサクサク食べられてしまうし、ラップに包んで冷凍保存も可能だという、そういうところも庶民の味方だ。

「服部幸應のお取り寄せ」より
しかし、冷凍したらさすがに味が落ちるのでは、という懸念もあるだろう、だが安心してほしい、この人形焼は「揚げ」という食べ方も推奨されている。
安心というより「禁じ手」を勧められている気がするが、食べ物というのは健康を犠牲にすることにより美味くなるという等価交換の世界なのだ。
他にもトーストしたり、さらにアイスを添えたりと、シンプルながらその食べ方はバリエーションに富んでいる。
あんこがたっぷりの割に食べやすいのは現代風アレンジのおかげ
現在では、先代が人形焼を焼く姿を見て育った兄弟が店を継いでいるという・
漫画なら、兄弟のどっちかが「うちの人形焼きは古いんだよ」と、アンコに生クリームを入れ出したり、人形を萌えキャラにしようとしだしたりしそうなものだが、山田家は、おじさん2人が仲良く今でも昔ながらの人形焼きを焼いているという。
ただ、甘さに関しては「現代風に少し甘さ控えめにした」とのことである。
あんこがたっぷり詰まっている割に食べやすいと感じたのは、この現代風アレンジのおかげだろう。
こしあん原理主義過激派からすれば「ぬるい」改変かもしれないが、それでもこしあん欲を十分に満たしてくれる逸品である。
<文・イラスト/カレー沢薫>
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