金縛りはなぜ起きる?幽霊におびえる又吉直樹が専門家に聞く
ふと目覚めると、足元に誰かがいる。感じる確かな重み……助けを呼ぼうにも逃げようにも、体はピクリとも動かない! こうした金縛りの恐怖、経験したことがある方も多いのでは。でも……金縛りって一体、なんなのでしょうか?
その答えが一冊の本にありました。それが『又吉直樹のヘウレーカ! 何気なく感じるフシギを解き明かす』です。
本書はNHK Eテレの人気番組『又吉直樹のヘウレーカ!』(水曜22時~)を書籍化したもので、番組では毎回、ナビゲーターの又吉直樹さんがさまざまなジャンルの研究者の話を聞きながら、素朴な疑問や謎を投げかけていくというものです。
又吉さんもよく金縛りにあうそうで、ライブで幽霊の悪口を言ったその晩に金縛りにあったことも。「霊のしわざでは?」という悩みに対し、生命科学者の上田泰己先生(東京大学医学系研究科教授)が科学的に解明しています。

又吉:睡眠と金縛りとどういう関係があるんですか?
上田:頭の状態っていろんな状態があるんですが、おもには「覚醒(かくせい)」「ノンレム睡眠」「レム睡眠」の3種類があります。
そのうち不思議な状態にあるのが「レム睡眠」で、脳は覚醒の状態に近く、筋肉はノンレム睡眠の状態に近い。体が寝ているのに頭は起きているような、それがレム睡眠なんですね。
又吉:夢を見るのもレム睡眠中って言いますね。
上田:夢では、いろんな突拍子もないことが起こりますよね。レム睡眠中は体をあえて動かさないよう、脳からブレーキをかける指令が出ていると言われているんです。なので、そのときにたまたま起きてしまうと、脳からブレーキがかかっているので体は動けない。
又吉:はい。
上田:金縛りというのは、レム睡眠中にたまたま目が覚めてしまったという状況で、体はまだ起ききっていない“睡眠まひ”と呼ばれるような状態だと言われているんです。頭と体の不一致みたいなことが起きているだけなんです。
又吉:感覚的にわかるなと思うことがあって。金縛りにあってすごい怖くて、そのとき、本棚の上になんかおると思って見たらすっごいカラフルな鳥で。全然怖くなかったんですよ。
上田:(笑)。そうですか。
又吉:それが夢やったのか、起きてて実際そう見えたのか、どうなんだろうなって。
上田:半分寝ていて半分起きている状況で、その間を行ったり来たりしているんですね。明確に覚醒すると、起きて体も動くと思うんですよ。
又吉:意識があって起きているけど夢を見ているみたいな。「今、自分は夢を見てる」って気づいているときに近いんですかね。
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金縛りは“睡眠まひ”の状態
