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ビートたけし、なぜ今さら離婚?家庭を持っても諦められない男たち

最後に「ほんとうの自分」になりたい?

離婚 T夫さんとたけしさんでは、年齢も立場も置かれている状況もまったく違う。しかし、「一度しかない人生で、少しでも多くの時間を“ほんとうの自分”ですごしたい」と願う切実さは、同質である。  離婚しようがしまいが、たけしさんと幹子さんの別居状態は変わらない。しかし、たけしさんにとって、幹子さんと婚姻関係を結んでいる自分は、長らく“ほんとう”ではなかった。たけしさんはもう72歳。どんな偉人であれ天才であれ、自分の「死」を意識せざるをえない「人生の総括期」とも言える年齢だ。たけしさんの胸中に「財産の多くを失うことになろうとも、最期の最期は“ほんとうの自分”でくたばりたい」という想いがあったのではないか。  ちなみに、たけしさんは自宅以外に、通称「等々力(とどろき)ベース」と呼ばれる“秘密基地”を2010年から世田谷区等々力に所有している。高級外車やコントなどで使った小道具、松井秀喜や松坂大輔から贈られたグローブやバットも保管されている、仕事場兼遊び場だ。ここに件の愛人A子さんと設立した新事務所があり、一緒に住んでいると報道されている。  たけしさんは莫大な対価を払って「ほんとうの自分」を手に入れた。T夫さんは予算不足で「ほんとうの自分」を手に入れそこねた。 結論:男の自己実現にはカネがかかる。男がカネを稼いで偉くなりたい理由の8割がたは「ほんとうの自分」に1cmでも近づくためであり、何歳になっても同性に年収マウンティングを仕掛ける理由もまた然り。たけしさんの離婚は、そんな男の性(さが)を改めて思い起こさせる。 【筆者による離婚男性ルポ連載】⇒ぼくたちの離婚 ※本連載が2019年11月に角川新書『ぼくたちの離婚』として書籍化!書籍にはウェブ版にないエピソードのほか、メンヘラ妻に苦しめれた男性2人の“地獄対談”も収録されています。男性13人の離婚のカタチから、2010年代の結婚が見えてくる――。 <文/稲田豊史> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
稲田豊史
編集者/ライター。1974年生まれ。映画配給会社、出版社を経て2013年よりフリーランス。著書に『映画を早送りで観る人たち』(光文社新書)、『オトメゴコロスタディーズ』(サイゾー)『ぼくたちの離婚』(角川新書)、コミック『ぼくたちの離婚1~2』(漫画:雨群、集英社)(漫画:雨群、集英社)、『ドラがたり のび太系男子と藤子・F・不二雄の時代』(PLANETS)、『セーラームーン世代の社会論』(すばる舎リンケージ)がある。【WEB】inadatoyoshi.com 【Twitter】@Yutaka_Kasuga
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