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ネットワークビジネス男子の“闇”を垣間見た瞬間|辛酸なめ子

ネットワークビジネス男子の話を聞いてみた

 以前、私も友人関係の異業種交流会に参加したら、積極的に名刺を渡してきた人たちが皆さんマルチ商法だった、という経験がありました。その時に「ハーブで感謝と幸せがあふれ会社の業績もアップしました」と話していた男性の話を、後日改めて聞いてみました。 ネットワークビジネス、普通の会員は目の奥が光っていない ハーブに詳しいと言いながらも話したらそんなに知識はなく、一ヶ月32万円の体に良いサプリを薦めてきました。その男性の目はギラギラしながらも奥に虚無感が宿っているようでした。ノルマを達成するプレッシャーや不安も相当あるのでしょう。  また、同じ異業種交流会で別の女性に勧められたイベントに行ったら、量子力学についての啓蒙トークを聞かされ、その後、数十万円の美顔器のカタログを渡されました。トークしていた男性が、今まで自分は普通のサラリーマンだったけれど、こうしてセミナーで話せるまでになった、と自信をみなぎらせていたのが印象的でした。  ネットワーク男子にとって、プレゼンだったりセミナーの場で人前で話す、というのが晴れ舞台なのかもしれません。限定されたネットワークの中で、カリスマ感に酔いしれるネットワーク男子。  ポジティブになればなるほど闇が増殖し、子を増やそうとすればするほど友人が減っていく……そんな光と闇の両極を体験できるのは貴重かもしれません。そんなネットワークの内輪は、外の大きな世界での競争に疲れたら居心地が良いのでしょう……。 ※ネットワークビジネスは、マルチ商法など「連鎖販売取引」の総称で、合法である。商品の購入者が新たな購入者を勧誘して、手数料や紹介料を得る。これに対して、実際には商品が存在せず紹介料だけで回っている仕組みを「ねずみ講」と呼び、違法である。 <文&イラスト/辛酸なめ子> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
辛酸なめ子
東京都生まれ、埼玉育ち。漫画家、コラムニスト。著書は『辛酸なめ子と寺井広樹の「あの世の歩き方」』(マキノ出版)、『辛酸なめ子の現代社会学』(幻冬舎)、『女子校育ち』(筑摩書房)など多数。
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