“季節を先取り”がおしゃれの鉄則。半袖でも秋らしさを出す方法は?
【モードをリアルに着る! Vol.96/小林直子】
おしゃれに見えるかどうかのポイントはいろいろありますが、季節を先取りすることもその一つです。
季節と季節の変わり目のころ、多くの人よりもいち早く、次の季節、今で言ったら秋物を取り入れるだけでおしゃれに見えます。
理由は簡単で、眼に新鮮にうつるからです。
目新しい、同じようなスタイルの人がいないというだけで、なんだかおしゃれに見えるということは皆さんもおわかりでしょう。レアものや限定品に人気があるのも、それが理由です。
しかし、季節を先取りするといっても、まだまだ暑い日々が続く日本では、単純に秋物を着ればいいというわけにはいきません。
衣服を着ることの最も重要な役割は暑さ寒さをしのぐことですから、いくらおしゃれには少しばかしの我慢が必要であるとはいっても、気温が30度も超えるような暑い日にウールのセーターや革のジャケットを着るのは無理があるでしょう。
暑さをしのぎつつ季節の先取りをする方法の一つとして、「小物だけ秋物を取り入れる」というものがあります。
トップスやボトムスなどのアイテムは夏物と変わらないけれども、帽子、靴、バッグ、靴下というような小物類だけを秋物にする方法です。そしてこの方法を使ったルックは、コレクションでもよく見ることができます。
今回取り上げるのはディオールの2019・20秋冬コレクションのファーストルックです。
暑さをしのぎつつ季節の先取りをする方法は?
ファーストルックということは、つまり、このコレクションを象徴するテーマが盛り込まれたルックということになります。 印象的なのは女性同士の連帯を称賛した「SISTERHOOD IS GLOVAL」というスローガンが描かれたTシャツです。これはアメリカの詩人ロビン・モーガンによる『シスターフッド・イズ・グローバル』 (1984)というアンソロジーからとられたもの。 マリア・グラツィア・キウリがディオールでのデビューコレクション以来、ずっと掲げているフェミニズムというテーマが今回でも大きく取り上げられていることがわかります。
秋の気配を感じさせるためには「小物」がポイント
さて、そんなファーストルックはカジュアルなコットンリネンのTシャツに端正(たんせい)なロングフレアスカートといういで立ちに、小物として幅広の黒いベルト、黒いソックス、白黒のフラットシューズ、そして黒いベールがついた光る素材のロングエッジボブハットを合わせています。 半袖のTシャツを着ているのになんとなく秋冬に見えるのは、この小物の効果が大きいのです。 こんなふうに、着ているものは夏と変わらないのに小物で秋の気配を感じさせるためには、まず秋から初冬のあいだに使う帽子、ストール、靴、バッグ、靴下などの小物を用意しましょう。 夏物と秋物、何が違うかといえば、例えば、ラフィアや麦わらの帽子がフェルトやベロア、皮革の帽子に、白やベージュのエスパドリーユやウェッジソールのサンダルが黒いスウェードやエナメルのサンダルに、白や薄いピンクの麻のストールがシルクウールのストールになど、多くのものは素材や色が変わります。
1
2