Fashion

70年代“フランスのお嬢様”ファッションが秋から復活。ポイントは?

モードをリアルに着る! Vol.97/小林直子】  ファッションは繰り返されるとよく言われますが、それは本当でしょうか?  本当です! ファッションの流行は、それが人々の記憶からすっかり忘れ去られたころ、もしくはそのトレンドが過ぎ去ったころ生まれた人たちが20代になるころ、素知らぬ顔をしてひょっこり戻ってきます。  そのいい見本が今回取り上げる、70年代から80年代にかけてのフランスのブルジョワ子女のスタイルです。

にわか成金とは正反対の趣味の持ち主、ブルジョワ子女

 今シーズン、セリーヌのほかにバーバリーやエルメスでも見られた、このフランスのブルジョワ子女風スタイル。  ではブルジョワとは一体どんな人たちのことを言うのでしょうか。ブルジョワとは、賃金労働者や無産者を意味するプロレタリアの対義語で、近代資本主義社会で資産家階級に属する人たちを意味します。簡単に言えばお金持ちです。  ブルジョワ子女を日本風に言えば、いいところのお嬢様や奥様ということになるでしょうか。  資産家でありながらも、つつましく堅実にお金を使い、いいものを買って大切に長く使う、にわか成金とは正反対の趣味の持ち主の、本当のお金持ちの女性たち、それがブルジョワ子女です。

セリーヌが復活させた70年代フレンチ・ブルジョワ・ガールルック

 さて、そんなブルジョワ子女の皆さんが70年代から80年代にかけてしていたスタイルが今年の秋冬、大復活しました。  中でもエディ・スリマン率いるセリーヌのそれは、群を抜いて70年代の雰囲気そのままで、今までこんなスタイルは見たこともない20代には新鮮に、そして40代以降、きっと上品なお母さんたちが着ていたものを覚えている人たちにとってはなつかしく、幅広い年代の女性の心をぎゅっとつかむ格好となっています。
 取り上げたこのルックはブレザー、シルクのブラウス、ツイードのプリーツキュロットスカート、シルクのプリントスカーフ、ロングブーツ、アビエイタースタイルサングラス、そしてホースビットをモチーフにしたゴールドの金具の黒いベルト、黒いショルダーバッグと、まさに70年代のフレンチ・ブルジョワ・ガールルック。  なぜエディ・スリマンが? なぜセリーヌがこんなルックを? と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、セリーヌというブランドは、フィービー・ファイロがクリエイティブディレクターに就任する前までは、良家のお嬢様、奥様たちの御用達ブランドで、売られていたアイテムも、これとそっくりなものばかりだったのです。  エディ・スリマンはそんなオールドセリーヌを今に合うように多少の修正を加えて復活させました。
 なぜ今、このブルジョワ子女風なのでしょうか? これは戦後に確立したブルジョワ階級のスタイルへの回帰です。  どのような回帰でしょうか? オールドセリーヌのスタイルは今でも十分にファッショナブルで、将来的にもそうである、それは今だけしか通用しない、使い捨てのファッションとは違って持続可能なファッションであるということを、エディはこのコレクションで示しました。

70年代ものを古着屋かおばあちゃまのワードローブで探してみて

 さて、私たちがこんな70年代のブルジョワ子女風ルックを再現するにはどうしたらいいでしょうか?  まずは70年代のものを扱う古着屋を回ってみましょう。セリーヌのコレクションで発表されたものと似たようなブレザー、スカート、シルクのスカーフ、シルクのブラウスがきっと見つかるでしょう。もちろん本物のオールドセリーヌが見つかる可能性もあります(実際にオールドセリーヌを見つけた方がいらっしゃいます)。
ブルジョワ

セリーヌのヴィンテージのブレザー
(※画像:WEARより)

 もしくは、20代だったら、おばあちゃまのワードローブにまだ古いセリーヌや、セリーヌ風のプリーツスカートなんかが残っているかもしれません。まずはそうやって、古いものの中から探してみましょう。
ブルジョワ

セリーヌのヴィンテージのシルクスカーフ
(※画像:WEARより)

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