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有名下着ブランド、“セクシーなショー”を中止に。「時代遅れ」の声も…

 高級下着ブランド「ヴィクトリアズ・シークレット」(通称“ヴィクシー”、以下VS)の毎年恒例のファッションショーが、今年は中止されることになった。  厳選された旬のモデルたちが、セクシー&豪華絢爛なランジェリーを身にまとい、ランウェイを歩くVSショー。これまで、スーパーモデルの登竜門であり、多くのモデルたちにとっての「夢」とされてきた。しかしVSをめぐっては、今年に入り様々な噂や憶測が浮上、このたびブランドが正式にショーの中止を認めるかたちとなった。
アドリアナ・リマ、アレッサンドラ・アンブロジオ

VSショーで美しい下着姿を披露するアドリアナ・リマ(左)とアレッサンドラ・アンブロジオ(右)

 スリムな女性たちがこぞってセクシーな下着を着用し、ステージ上を闊歩するショーが、「時代遅れ」との指摘も多かったVS。  21日(木)、VSの親会社「Lブランズ」の副社長兼最高財務責任者(CFO)のスチュアート・バーグドーファー氏が、専門家との電話会見で中止を発表した。 「以前にも伝えましたが、ヴィクトリアズ・シークレットのマーケティングを進化させることが重要です。現在、幾つかの点では既に始まっていますし、これから益々盛んになることでしょう。我々はこのブランドのポジションを前進させ、顧客の皆様と最高の繋がりを作っていく術を考えているところです」  VSについては、商品の売れ行き不振も指摘されており、今シーズンは7%減、昨年も2%減と、2016年から下降し続けているとのこと。しかし、バーグドーファー氏は財政的な面よりも、テレビで中継される同ブランドのショーの視聴率低下を問題視しているという。  1995年に放送開始されて以降、世界中で放送され、数百万人が視聴したといわれているVSショー。しかし近年は、視聴者数が本国アメリカでも減少。昨年は、視聴者数が5年前に比べ、約3分の1に減少したともいわれている。  高級下着・ランジェリーのトップブランドとして君臨してきたVS。不振の背景には一体何があるのだろうか?

「セクシー=美」は時代遅れ

 VSショーといえば、なんといっても特徴的なのが、出演者たちの豪華な顔ぶれ。これまで、アドリアナ・リマアレッサンドラ・アンブロジオエルザ・ホスクカーリー・クロスジジ、ベラ・ハディッド姉妹など、今をときめくモデルたちが参加した。  特に、ブランドの広告塔である「エンジェル」としてステージを歩けるのは、厳選されたモデルのみ。日本でも人気の高いミランダ・カーや、トップモデルのジゼル・ブンチェンも、かつてエンジェルとして活躍した。  またVSショーでは、エド・シーラン、ハリー・スタイルズ、セレーナ・ゴメス、レディー・ガガといった大物ミュージシャンがライブを披露するなど、ファッションショーの枠を超えた一大イベントとして、これまで注目を集めてきた。  しかし最近では、VSに対する批判も目立つように。たとえば、VSがこれまで掲げてきた「セクシー=美」というマーケティングが、時代にそぐわないと指摘する声。また、女性を物と見なしているとの批判、多様性が問われる今の時代に、やせているモデルたちばかりが起用されていることなどが、疑問視されるようになってきている。
 近頃は、シンプルなデザインの下着を好む人が増えており、そもそもセクシー路線のVSの下着を好まない人も多いといわれている。

トランスジェンダーやプラスサイズのモデルを起用。しかし…

 こうした中、VSにも変化の兆しは見えてきている。たとえば、これまでVSショーの人選を担ってきた最高マーケティング責任者のエド・ラゼク氏が「トランスジェンダーの女性はVSのファンタジーではない」と発言して批判を浴び、辞任した。一方で、今年はブランド初となるトランスジェンダーのモデル、ヴァレンティナ・サンパイオが起用された。  さらに先月には、ブランド初となるプラスサイズモデルも起用されている。
 しかし、まだ対処すべき問題は残っているようだ。今年夏には、100人以上のモデルが連名でVS幹部らに公開書簡を送り、モデルの労働環境を改善するよう訴えたことが明らかになっている。また、性的な目的で未成年少女を人身取引した罪で起訴された米富豪のジェフリー・エプスタイン被告と、VS創業者との関係も取り沙汰され、ブランドのイメージも低下している。  さらに、VSが描く女性像に疑問を抱く元エンジェルたちも。たとえば、19年にわたりエンジェルを務めたアドリアナ・リマは、「ファッション業界が押し付ける、(美の)ステレオタイプに合うように努力する生き方はおかしい。意味もないのに服を脱ぐことはやめます」と宣言し、昨年引退を表明。  2015年にエンジェルの座を退いたカーリー・クロスも、VSが掲げる女性の美、そしてVSが女性たちに発信しているメッセージに疑問を抱いていたことを告白している。  内外から生まれ変わることが求められているVS。今後の動向に注目したい。 <文/BANG SHOWBIZ、女子SPA!編集部>
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