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アスペルガー当事者の悩み…夫に気持ちを伝えられず離婚の危機に

 アスペルガー症候群は、現在では自閉症などとともに自閉症スペクトラム(ASD)と総称される発達障害の一種です。  社会性(対人関係)の障害、コミュニケーションの障害、こだわりが強い(想像力の障害)などの特性を持ち、言葉と知的発達に遅れがない状態を指します。(参考 梅永雄二監修『よくわかる大人のアスペルガー』)
悩む女性 窓、曇、雨

写真はイメージです(以下、同じ)

 アスペルガー症候群当事者の既婚女性である七海さんに、新しい環境に慣れず離婚の危機におちいった経験をつづってもらいました。(以下、七海さんの寄稿です)

アスペルガーの私が夫に伝えられず、悩んだこと

 私はアスペルガー症候群当事者の女性です。成人後、他の病気で精神科にかかり、アスペルガー症候群であることが発覚しました。  ここのところ、発達障害に関するニュースなどをよく見聞きします。以前より理解が深まったように感じますが、根強い偏見もあるように思います。  今回は私自身の経験をお話しします。結婚3年後、引っ越しをした際にあった話です。

引っ越し先など新しい環境に馴染むのが苦手

引っ越し 交際前からアスペルガー症候群当事者であることは伝えているのですが、夫は発達障害などの概念をあまり信じない人です。それだけフラットに見てくれているといえばそうなので、ありがたいのですが、時に揉め事の原因になることも。  アスペルガー症候群の特性のひとつですが、私自身、新しい環境に馴染むのが非常に苦手です。これは昔からそうなので、引っ越しの話が決まった際にも覚悟はしていました。しかし、今回はなぜかいつも以上に馴染むのが遅かったのです。  以前住んでいた家は狭めの部屋。引っ越し先は2階建で、前よりもずいぶん広かったのです。一気に広さが変わって、パーソナルスペースの取り方が分からなくなってしまったのかもしれません。

「夫を嫌っているから近くに寄りたくないのだ」と誤解された

 まず私は、自分の居場所を探しました。私には、家の中でも特に落ち着く場所を見つけて、そこを生活拠点にするという傾向があるのです。家の広さが一気に変わり、家具も揃っていなかったからか、それを見つけるのに非常に苦労したのを覚えています。 悩む 落ち着く場所を見つけたのは引っ越し半月後くらいです。それまでは、心の平穏がない感じで、物音や光などに過敏に反応してしまいました。特に音は、頭の中に響く感覚があり、辛かったです。それでしんどくなったときには、別の部屋で休んでいました。  やっと見つけたパーソナルスペースは、以前の家より広め。広めに作ったパーソナルスペースを出るのも、そこに入られるのも、すごくソワソワしました。  前の家が狭かったので、当然夫は違和感を抱きました。私が夫を嫌っているから、近くに寄りたくないのだと思われてしまったのです。

夫から離婚という言葉も出た

 パーソナルスペースを見つけるまで、物音などに過剰反応してしまったのも、見つかった後に夫との物理的な距離感が離れてしまったのも、夫が原因ではありません。  アスペルガー症候群といっても、その症状の出方はさまざま。しかし、ある程度の特性を相手に説明できるものだと考えています。  けれども、夫は発達障害自体をほとんど信じていないので、説明材料にはなりませんでした。私の心を伝えるのも非常に難しく、「自分のスペースがないと落ち着かない、そこが決まったらその場所を好んでしまう」と正直な心境を言ってみたのですが、なかなか理解しづらいのは自分自身も分かっています。 夫婦 結果夫は「自分のことを嫌いになったから、自分を避けているんだ」と、怒ったり落ち込んだりしてしまうようになりました。  嫌いになったわけではないのです。だけど、それを伝えるのがとても難しく…。何度も話し合いましたが、本音が伝わらないまま終わってしまう毎日。次第に2人とも衰弱してしまい、彼から離婚という単語も出てきました。
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伝えることの難しさを実感
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