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元空港スタッフ女性が、転職して9年経っても抜けない「職業病」って?

 こんにちは。ライターの高木沙織です。  かつてグラホ(グランドホステスの略、現在のグランドスタッフ)として6年間勤務してきた私。みなさんが空港で接する、航空会社の地上職員です。
グラホ26話 時間厳守の仕事が、私生活にもたらした影響

写真はイメージです(以下同)

 つい先日、友人と待ち合わせをしていたときのこと。約束の10分ちょっと前に集合場所にいた私を見つけ、「え、早くない? 何時からいたの?」と驚いた顔をしていましたが、甘い! 30分前には来ていたから(笑)。まぁ、ずっとそこいたわけではなく化粧室に行ったり、ブラブラ散策をしたりしていたのだけど。  今回の26話は、グラホを辞めてから9年ほど経つ今でも抜けない癖のお話しをしていきましょう。

分単位で仕事内容も場所も変わる

 新人~中堅時代、出発班に所属していた当時の一日の仕事の流れ(早番Ver.)はこんな感じ。 06:40 朝のブリーフィング(その日のフライトの要点を早番の職員全員で確認) →前日からの引継ぎや書類の出力があったりもするのですでにバタバタとした雰囲気。 07:00 チェックインカウンターオープン~ひたすらチェックインをこなす →オフィスからチェックインカウンターまでが遠いので早歩きもしくは走る日も。ブリーフィングが長引いた日は全員でダッシュするという面白い光景が見られます。 08:10 出発ゲートに移動~搭乗開始前の準備やアナウンス、機内の状況確認などをおこなう →チェックインカウンターから出発ゲートまでも遠く、余裕で1kmくらい離れていたりするので基本小走り分単位で仕事内容も場所も変わる08:30 搭乗開始 →搭乗券の確認・お客様の誘導から、ゲート付近で搭乗開始の声掛け。時間内にお客様全員を搭乗完了させなくてはならないので必死の30分。 09:00 ドアクローズ~プッシュバック(航空機を後方へと押し出し移動させる)、テイクオフ(離陸)までを確認したらチェックインカウンターに戻る →空港内・制限エリアの長―い距離を歩いて戻り(ゲートで使用した機材・道具の荷物検査を受ける)、ゲートでの業務を上司に報告。 10:30 休憩 →コンビニエンスストアやレストラン・カフェに行くとなるとさらに歩くことになるので、休める時間が短くなることを覚悟して……。 11:30 午後のフライト2便のチェックイン&ゲート業務+翌日の準備 →午前中と同じ流れに加えて、翌日のフライト情報・お客様情報を確認し諸々の準備。先輩よりも遅れてカウンターに入ると睨まれるので、新人は早めにスタンバイします。 15:40 業務終了  これ、“イレギュラーがなければ”でかつ理想的な流れね。だって、チェックインカウンターでもゲートでも毎日・毎便予期せぬことがこれでもかというくらい起こるから。時間どおりにゆとりを持って動ける日なんて本当に奇跡。6年間で何回あったかな?  私たちはよく、「チェックインにはまる(時間がかかる)」なんて言葉を使っていたけれど、ちょっと難しいケースのチェックインが発生したりすると、次の業務に取りかかるのが遅くなります。  それで上司や先輩に、「遅いっ!」と叱られるだけで済めばまだいいですよ。そのせいで出発便を遅らせようものなら始末書を何枚書けばいいのか……、背筋がゾッとしますもん(そうならないように、情報の共有・ヘルプ要請はしますが)。

すべては定刻出発のため

すべては定刻出発のため このような分刻みの業務のすべては、言うまでもなく旅客機の定刻出発のため。  私が勤務していたエアラインでは成田空港からの出発便が海外の某空港に到着すると、ふたたび現地からの乗客を乗せて今度は到着便になって戻ってきます。だから、ひとつのフライトが遅れるとその後が地獄になるんですよね。ディレイ(遅延)のスパイラル。  もちろんお客様にも迷惑をかけるし、ひとつのフライトのために動くすべての職員にも。  だから、みんな時間には異常なまでに敏感。 「あと10分後にはゲートにいなくちゃいけないから、チェックインカウンターを出ます」 「この業務には◯分くらい時間がかかるから、△△さんも手伝ってもらえませんか?」 「チェックインにはまってしまったので、ほかの人をゲートにまわせませんか?」  と、常に時間を意識した行動をします。
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時間の管理ができないならグラホ失格?
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