控えめすぎる神木隆之介が、突然ヘンなポーズで笑わせに来た!子役から芸歴30年の存在感|ドラマ『もしがく』4話
1984年の渋谷を舞台にした群像劇『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』(フジテレビ系、水曜夜10時)。潰れかけたストリップ劇場「WS劇場」を救おうと、素人集団がまさかのシェイクスピア演劇に挑む――。若い頃の三谷幸喜をモチーフにした脚本家を演じるのは、神木隆之介。さすが、2歳でデビューして芸歴30年の存在感を発揮しています(以下、ドラマ批評家・木俣冬さんの寄稿)。
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俺たちの神木隆之介がこんなポーズを。
「ノーシェイクスピア、ノーライフ」
「シェイクスピア」でペンを走らせる振りをして、「ライフ」でバッと両腕をあげてクロスする。まるでジョジョ立ちのような全身に緊張感漲るポーズだった。
『もしがく』こと水曜ドラマ『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』第4話は『クベ版 夏の夜の夢』の初日が迫って来た。ゲネプロ(本番さながらの舞台稽古)を行うにあたりドタバタが巻き起こる。ある目的に向かって進むも紆余曲折あるという喜劇は三谷幸喜の自家薬籠中のものだろう。
アクシデントと感動の緩急は職人技。
だが、相変わらず、演出家・久部(菅田将暉)をはじめとして登場人物たちがうるさい。そしてみんな好き勝手やっている。あまりにみんな濃いので、第1話ではちょっと地味すぎやしないかと気になっていた蓬莱(神木隆之介)の控えめさにむしろホッとするようになった。そんな蓬莱がまさかあんなポーズを。
キャラの濃い人達に囲まれて、彼なりに頑張った結果が「ノーシェイクスピア、ノーライフ」だったのだろう。発端は久部がラストのパック(久部が演じる妖精)のセリフに一工夫欲しいと頼まれたこと。改めて説明すると、蓬莱は放送作家で、お笑いコンビ・コントオブキングス(彗星フォルモン〈西村瑞樹〉、王子はるお〈大水洋介〉)の座付き作家である。それが『夏の夜の夢』では久部の演出助手をやることになった。
セリフに一工夫は作家としてはうれしい依頼にちがいない。勝手がわからないなりに考えてみた「ノーシェイクスピア、ノーライフ」。しかも振り付き。だが「こういうんじゃないんだよ」と久部にあっさり袖にされてしまう。そのときの蓬莱は「すみません」とすぐに取り下げる。この控えめさがいい。大げさにがっかりすることも反抗することもない。その静かさは、マッチョな用心棒トミー(市原隼人)の小声とはまた違う。
突然の“ジョジョ立ち”に笑った
ひとりだけ控えめ。だからいい
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