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休業中の夫と、休校中の息子が殴り合い。喧嘩の理由がせつない…

 コロナ感染拡大によって、飲食店を始めとする様々な業種が軒並み休業に追い込まれています。休業中の補償がないか十分でない場合は、お金を巡る夫婦のトラブルも増加。こんな時こそ夫婦は協力し合うべきですが、コロナ感染拡大前から夫婦関係に溝ができている夫婦には、より大きな危機が訪れます。家庭内暴力も、世界的に問題になっています
金銭問題

写真はイメージです(以下同)

 夫婦問題のカウンセラーとして長年多くの相談を受けている「離婚110番」の澁川良幸氏は、「悪化させないためには、別居も考えた方が良い」とアドバイスしますが、子供が夫婦問題に絡んでくると、より複雑な様相を帯びてくるようです。(以下は、澁川さんへの相談をもとに、再構成した体験談です)

激情型な夫と13歳の長男が殴り合いの喧嘩

「私は理容師、同じ年の夫は美容院で働いています。結婚前から、夫に激情型な傾向があることは気になっていました。でも17年前に熱烈にプロポーズされて、あれよあれよといううちに結婚したんです」  そう語るのは、神奈川県在住の三好弥生さん(仮名・45歳)。13歳の長男と、8歳の長女との4人家族だという三好さんの大きな悩みは、夫と息子が衝突し、時には殴り合いの喧嘩に及ぶことです。 「息子は正義感が強いのですが、父親に似て、激情型なんです。弱い者いじめをしている同級生に喧嘩を売ったことがあって、小学校の担任からも指摘されたことがありました。その時は、仲の良い友達のお母さんに『弱い子を守るのはいいことだけど、暴力沙汰になると、せっかくの行動が台無しになっちゃうかも』と忠告されたりしました。  学校では自分を抑えているようですが、その分、性格が似ている父親に向かってしまうんです」 殴り合いの喧嘩 しかも3月から子供たちが休校となり、4月に入ると、店が休業になった夫も自宅にいるように。一方、理容師の三好さんは、時短や休みが増えたとはいえ、週に3回は出勤しているので、出勤日には、自宅で夫と子供たちが過ごすことになったのです。 「私が家にいるときは夫と息子の喧嘩を止められますが、仕事で家を留守にすると、喧嘩が始まり、娘から『ママ、早く帰ってきて』とラインがあって。心配で早退したくなりますが、このご時世で、しかも夫が休業中のため、働かざるを得ないんです」  緊急事態宣言が発令され、外出自粛が要請されると、ますます夫も息子もストレスがたまり、一触即発の気配が濃厚になったそうです。

母を大切にしない父親夫に、腹を立てていた息子

「緊急事態宣言から1週間たった頃に、娘から店に突然電話があったんです。ラインをしても繋がらなかったとかで。夫と息子が殴り合って、夫が転倒し、息子が鼻血を流したと言って娘が泣いているんです。その時は、早退しました」  急いで帰宅すると、夫はドアに頭をぶつけたものの、こぶができただけで、病院に行くほどではなかったそうです。夫に殴られて鼻血を流した息子に三好さんが原因を聞くと、「ママをバカにしていたから」とぼそっと答えたのです(なんていい息子なんでしょう…!)。 「夫は自分勝手の“オレ様”で、家では威張っています。でも私は慣れてしまったので、『またか』と諦めています。子供が大きくなって独立したら、夫婦二人はしんどいから、その時に離婚を考えるかもしれないけど、でも今はやり過ごそうと決めていました。  ところが、息子は母である私を大切にしない夫に、腹を立てている。これって、抑え込んでいる私の本心に問いかけているんだなあって。ごまかしてやり過ごしている私たち夫婦に、息子が警鐘を鳴らしていると思いました」  だけどこのままだと、いつ殺し合いになるかもしれない、家庭内暴力から事件に発展してしまわないうちに手を打ったほうがいいと危惧した三好さんは、別居を考え始めます。まず実家に帰ろうと電話を入れましたが、東北地方にある実家の親からはもちろん反対。新型コロナの流行が落ち着くまでは、長距離の移動などできません。
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カウンセラーから、とにかく家を出るようアドバイス
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