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Vol.19-2 「DV・モラハラ夫に仕立てられた」離婚で親権を奪われた男性の後悔

「同じ夫が2度目の問題を起こした」

 移送された警察署では、岩間さんが酩酊していることが大きく不利に働いた。 「警察からすれば、酔っ払ってるオッサンが何を言ったところで信じません。DV野郎だと決めつけられ、とにかく家に戻るなと言われました。担当警官からは『戻ったらどうなるかわかってるな?』という無言の脅しを受けて、仕方なく、その後はしばらくビジネスホテルと友人の家を転々としました」  2週間後、裁判所から「申立書」が届く。申立人は結衣さん。配偶者から暴力をふるわれる可能性があるということで、岩間さんは結衣さんの住居(無論、岩間さんの住まいでもある)に近づけなくなった。いわゆる接近禁止令である。岩間さんは当然抗告したが、あえなく棄却。それには理由があった。 「実は子供が生まれてすぐ、結衣が大声でわめき始めたので、もう家にいられないと思って一旦家を出ようとしたことがありました。すると玄関を出たところで、結衣が『待てこの野郎!』と僕に追いすがってきて、その拍子に階段の所で勝手に転んだんです。僕はそのまま去り、しばらくして家に戻ったんですが、結衣と娘はいませんでした。 結衣は僕がいない間に、警察に『身の危険を感じる』と連絡して、一時保護されていました。僕はすぐ迎えに行きましたが、そこで警官に『もうこんなことはするな』と釘を刺されまして……。階段で転んだ怪我が、僕のせいにされていたんです」  この件が所轄の警察署に記録されていたので、警察としても裁判所としても「同じ夫が2度目の問題を起こした」と判断したのである。

“我々”は皆、「モラハラ夫」

「僕がいくら妻に手を上げてないと声高に叫んでも、周りの見方は違います。毎日のように酒を飲んで帰ってくる夫が、障害者手帳を持っている弱い妻に暴力をふるっていた。夫は疑り深く、妻の言うことを信じない。妻は疲弊し、外部に助けを求めた。それが一番、腹落ちする構図なんですから。ねえ?」  そう言って、岩間さんはこちらを一瞥した。 「我々は彼女のことをメンヘラだと思っていますが、メンヘラ妻からすれば、我々は皆、モラハラ夫ですからねぼくたちの離婚 Vol.19 #2 岩間さんは、なぜか一人称を「僕」ではなく「我々」と言った。
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日本は「連れ去り得」
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