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「きれいな自殺なんてない」死にそこねた私と、特殊清掃人が見たリアル<yuzuka×小島美羽>

自殺のあった部屋の多くに「モノがない」理由

13836988604583yuzuka:小島さんが携わった自殺に関連したお部屋に共通点ってありますか? 小島:とくに多いのが、部屋のモノがなにもない、という状況です。おそらく長期的に自殺を計画されていて、下手すれば数年前から少しずつ身辺整理をされたんだと思うんですね。もちろん、突発的に亡くなられたであろうお部屋にも出会って、そういったお部屋には生活感があることが多いです。ただ圧倒的に多いのは「モノがない」ですね。 yuzuka:「なにもない」。なんだか苦しくなりますね。自殺をされる方って、どんな方法で実行されている方が多い印象ですか? 小島:首吊りと練炭が圧倒的に多いです。ロフトやクローゼットにロープがかけられているのをよく見ます。あとはドアノブにひっかけて、座るような形で亡くなられる方も多いです。 yuzuka:『完全自殺マニュアル』の影響もいまだ大きそうです……。一時期、社会現象にもなりましたしね。ドアノブを使った首吊りもまさに、図式つきで紹介されていました。 小島:その本、私も知ってます。 yuzuka:有名ですよね。だけど首吊りや練炭を使った自殺について、「綺麗な自殺」だと思われている方に出会うと、現実とのギャップを感じます……。 小島:私たちが現場に入る際にはご遺体がすでに運ばれていて、その場にはない状態なのですが、それでもかけられたロープの下に、大量の体液が水たまりになっていることが多いです。自殺のあと時間が経ち、流れ落ちてきているんですね。おそらくご遺体も、原型を留めた状態ではなかったんだろうなと想像がつきます。
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小島さんのミニチュア作品より。首吊りをしたロープの下には、故人によってブルーシートが敷かれている

yuzuka:私は職業柄、首吊り自殺のご遺体の写真を見たり、失敗をされた直後の方にお会いしたことがあります。その経験から言えるのは、決して美しい状態ではなかったということです。目玉は飛び出て、時間が経てば溶け出ますし、排泄物や体液がいたるところから漏れ出している。顔はぱんぱんに膨れ上がっています。 小島:お部屋にもその体液にむらがって虫がたくさん湧いているケースが多いです。綺麗じゃないんだよって現実を伝えるのは、意外に大切なことかもしれませんね。

綺麗な自殺なんて、存在しない

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小島さんのミニチュア作品より

yuzuka:そうなんです。もちろん死んでしまうからどうだっていいって考える方もいるとは思うんですけど、昔から「綺麗な死に方」って一定数の方が探しているんですね。それはないよっていうのは、はっきり伝えたいです。あとは、失敗のリスクも考えてほしいですね。私にDMを送ってくる方や、精神科で働いていたときに出会った患者さんのなかにも、自殺を失敗したという方が一定数いました。  飛び降り自殺に失敗して下半身付随になってしまった方、首吊りに失敗して、麻痺が残った方。みんな、「死にたいのに、もう死ぬこともできない。自殺を図る前に戻りたい」と言います。その言葉って、本当に重いです。 小島:失敗のリスクって、たしかにあんまり伝えているところが少ないイメージです。 yuzuka:それを想像しないのって、すごく危険だと思いませんか? 昔、家族全員を殺したあとに、自分が自殺するまでをボイスレコーダーで録音した男性がいたんですね。その方、一度首吊り自殺に失敗されているんですけど、意識が戻ったときの録音を書き起こされた内容がすごくおぞましかったんです。  自分の排泄物が大量に流れ出た床の上で目が覚めて、立ち上がろうとしてもつるつる滑って歩けなかったと。パニックになって、全身糞尿にまみれになりながら、暴れていたそうです。 小島:それは怖いです。そこまで想像する人っていないかも……。 yuzuka:「自殺って、決して100パーセント死ねるわけじゃないんだよ。失敗した先には、もっと辛いことが待っているかもしれないよ」ってリスクも、私はきちんと伝えたいです。
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なかったことにされる遺書たち
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