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「パラスポーツは“ただのスポーツ”になってほしい」パラ水泳選手が語る未来

パラスポーツは“ただのスポーツ”にならなきゃいけない

一ノ瀬メイ では、一ノ瀬選手はパラリンピックの意義をどこに見いだしているのか。その答えは、やはり従来の「障がい者」の枠に収まり切らない彼女らしいものだった。 「パラリンピックがなくなり、五輪の一カテゴリーとしてパラ競技が行われるようになればいい。  例えば、車椅子バスケットボールは、国内大会なら障害がない人も参加することができます。障がい者スポーツと捉えるのではなく、『車椅子バスケ』という一つの競技として扱われていけば、パラリンピックはより意義ある大会になる。車椅子バスケやブラインドサッカーのチームに健常者がいたら、面白そうでいいじゃないですか(笑)。  インクルーシブって小難しいことではなくて、楽しいもの。パラスポーツは健常者のスポーツの“障がい者版”ではなく、“ただのスポーツ”にならなきゃいけない」  一ノ瀬選手が思い描く理想の一部は、実はすでに叶っていた。  ’12年、両脚義足のスプリンターのオスカー・ピストリウス(南ア)がロンドン五輪に出場し、大いに注目を集めたのだ。だが現在、世界記録を更新し続ける義足のジャンパー、マルクス・レーム(独・右写真)が東京五輪への出場を訴えると、国際陸連に退けられた。開きかけたかに見えたパラスポーツの可能性の扉は、閉じられてしまうのか……。
一ノ瀬メイ

リオ大会でパラリンピック記録を更新して優勝したマルクス・レーム選手

【一ノ瀬メイ】 ’97年、京都府生まれ。英国人の父、日本人の母を持つ。近畿大学職員。1歳半で水泳を始め、小学4年生でパラリンピックを目指す。’16年、ジャパンパラ競技大会200m個人メドレー、100mバタフライ、50m自由形 で1位。リオパラリンピックで4×100mリレー6位、4×100mメドレーリレー7位。5つの日本記録を保有する <取材・文/齊藤武宏 撮影/浅野将司 写真/朝日新聞社 写真提供/近畿大学>
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