
我慢の限界を迎えた由紀子さんは、意を決してお向かいのお宅へ向かうことに。ちょうど家の前にはご主人がいつものように立っていたので駆け寄ります。
「だんだん近づいてくる私の気配を感じ、向かいのご主人は相当驚いていたみたいですけど、意を決して言ったんです! あなたにじろじろ見られているような気がするから困っているって。もちろん遠回しにですけどね」と、少し興奮気味の由紀子さんは語ります。
ところがお向かいのご主人からのアンサーは意外なものでした。

「家の前で立っている理由は、奥さんが生前、ガーデニングを趣味にしていて、特にかわいがっていた鉢植えのそばにいれば奥さんを感じていられるからだそうで。奥さんが亡くなってから両目の視力も落ちてよく見えていないらしいんです。
今までに無いくらい決意して家を飛び出して行動したんですけど、なんか一連の理由を聞いて拍子抜けしたんです。逆に心配になってきちゃって。いつの間にか涙ぐんでいる自分もいたりして…」
ビシッと言うつもりが、ご主人の事情に同情した由紀子さんはなぜかご主人の手を取って、勘違いしていたと失礼を詫びて、家に戻ったそう。