一方、不倫相手の女性は彼が独身だとずっとウソをついていたことが証明されたため、慰謝料を請求することはできなかったとか。おまけに夫婦の貯金はほとんどなかったので財産分与のしようもなく、絵美さんは専業主婦だったので収入もない状況でした。
そのため、離婚した時点での全財産は、ヘソクリの5万円と合わせてわずか6万5000円。家を借りる余裕もなく、新生活を始めるどころかいきなり路頭(ろとう)に迷いかねない危機的な状況でした。
「唯一の肉親である父親とはずっと疎遠だったので頼るわけにもいかず、友達に頭を下げて居候(いそうろう)させてもらいました。ただ、『いつまでいる気なの?』って思っているのをなんとなく感じたので、すぐに出たのですが次に行くあてもなく、とりあえず1泊約4000円の安いビジネスホテルに滞在していました。
とはいえ、この時点の所持金では食費やその他出費を考えると、10日弱しか持ちません。それ以内に何が何でも仕事と住む場所を確保する必要がありました」
しかし、寮完備で即就業可能な仕事となると、求人は限られてきます。それでも求人フリーペーパーや求人サイトをかたっぱしからチェックし、見つけては電話でまだ募集しているかを確認。そんな中、すぐにでも面接してくれるという職場があり、その翌日に早速面接をしてもらうことに。
募集していたのはパチンコホールの従業員。雇用形態は契約社員でしたが会社が借り上げたアパートの部屋を寮として提供していたそうです。
「スタッフが立て続けに数人辞めて、すぐにでも働ける人を探しているとのことでした。そこで私が事情を説明し、明日からでも働けます!と伝えました。
結果はその日の夕方にあって無事採用。さすがに翌日から仕事ではなかったですけど、次の週から働くことになり、寮にもすぐ入居できることになったんです。やっぱり夜の仕事以外は無理なのかなとあきらめかけていたところだったので、うれしかったよりもホッとしました」
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◆絵美さんの離婚後の収支(※就職直前時点)
当時の全財産 6万5000円
支出
ビジネスホテル代 4万4000円(11日分)
食費 9000円
交通費 3000円
雑費 5000円
収支 +4000円
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