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だが、中国産食品が増えていくなか、一方で消費者の意識もアップデートする必要がありそうだ。『中国「猛毒食品」に殺される』(扶桑社刊)などの著書があるフリーライターの奥窪優木氏は言う。
「近年、食の安全性に対する関心は中国国内でも高まり、かつ習近平体制発足以降は抜き打ち検査や取り締まりも激増したので、安全性は格段に高まったといえます。’17年に「食品安全に関する5か年計画」を発表し、’20年に目標が達成されました。さらにコロナ禍においては、食品の製造工場などでは当局の指導下での厳重な感染予防策が取られており、毒餃子事件のような異物混入事件はもはや起きにくい」
実際、厚労省の輸入食品監視指導結果(’20年度)を見ても、中国産食品の違反率は0.07%と米国や韓国、イタリアより低いのだ。
ただ、今度は別の問題も浮上しつつある。奥窪氏は続ける。
「これまでは、日本が中国で買い付ける生鮮食品は多くの場合、最高品質のものでした。それでも国産よりは十分安かったからです。しかし、中国の物価上昇や円安、さらには日本の購買力低下により、日本に入ってくる中国産食品は今、モノによっては現地の並以下になっているものもあります」
工業製品と同様、国産と品質の差がなくなりつつある中国産食品。食品インフレの渦中で、消費者としてどういう行動をとるのか。私たちは選択を迫られている。