しかしその後、会食に同行していたことがきっかけで樋口さんは思わぬ幸運を手にします。
「その時も会食に連れ出されていて、
たまたま会話が盛り上がった顧客から大口発注をいただけたんです。別の営業担当はついていたのですが、わざわざ『君にお願いしたい』と言ってもらえて。コミュニケーションを通して私を評価してくださったことは、素直に嬉しかったです」
この受注により、支店で一番の売り上げを作った営業マンとして称えられた樋口さん。悪いことばかりじゃないな、と気持ちを立て直していましたが……

「大口の受注を受けたことで少々目立ってしまったこともあり、『
結局は女を武器にいい顔をしたから受注できたんだろ』といった声も聞こえるようになりました。確かにそうかもしれないですが、女の武器を使う前提で会食への同席を強要する状況はどうなの?! と怒りをおぼえました」
長年熱量を持って働いてきた樋口さんでしたが、この一件からモヤモヤがおさまらず退職を決意。新しくできたばかりのベンチャー企業に入社し、セールス担当として精力的に働いています。新しい職場では前職のように会食に誘われることはなくなりましたが、樋口さん自身が考えを改めた部分もあるようです。
「
結局はどこに行っても、何かしら“女としての扱い”を受けることはあると思います。それは仕方のないこと。女性として不利な扱いを受けることがあるのなら、開き直って女性の強みを活かして武器にして仕事を獲得したっていいんじゃないか。そんな風に思いながら働くようになりました」
自分を犠牲にするのも、奮い立たせるのも自分次第。女性たちには不当な扱いに屈することなく、たくましく生きていってほしいと思います。
―シリーズ「女性扱いでモヤッた話」―
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<文/萩ゆう イラスト/とあるアラ子>
萩ゆう
住むところは中国地方や関西など、全国各地を転々と暮らすWebライター。温泉メディア、女性メディアなどで執筆中。特技はマラソンでフルマラソン3時間ギリの記録をもつ。