美也子さんは何も言わずに自分のクルマに乗り込むと、彼氏のアパートから離れ、近くの公園まで走らせます。
公園には駐車場があり、そこにクルマを駐めると早足で彼氏のアパートまで戻りました。

彼氏の部屋を見ると、目に入ったのは廊下に立つ彼氏と先ほどの女性が小走りに駆け寄るところ。
仲睦まじそうに肩を寄せ合ってドアを開け、吸い込まれるようにふたりがなかに消えるのを、美也子さんは息を詰めて見ていたそうです。
「どうして元カノと思ったかって、彼氏から聞いていた雰囲気とそっくりだったんですよね。『
執着心が強くて、喧嘩すると連絡もなしに家までくるから迷惑した』とか彼氏は話していたけれど、いないとわかっても部屋の前から離れないって、普通じゃないですよ。彼氏のクルマが入ってきて慌てて逃げるとか、いかにも元カノっぽいなって」
また、誰であれ自分のアパートの廊下に立つ女性についてまったく触れようとせず、美也子さんをさっさと立ち去らせようとする彼氏の姿も、浮気を疑うには十分でした。
「家族が病気とか病院に行くことになったとか、嘘だろうなと思いました。その女性の都合がつくまで私といて、一緒に過ごせると決まったからそっちを選んだのだろうなって。そう思ったらもう、悲しいより馬鹿にされた感じにすごく腹が立って、一言言ってやりたくなりました」