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子どもにワクチン打たせない、薬も飲ませない…“自然派育児”をするママの沼

自分に効果がなかった時点で子どもへ与えるのもやめてよさそうだが「基本、何もしないのが美学」と考えていたMさん。だからレメディはあくまで補助であり、子どもの自然治癒力を信じていたという。 「でも結局、このレメディが最初の違和感になりました。自然派界隈からの情報で、歯磨きは必要ないとかハチミツはいつ食べても良いとか、フッ素は毒!とかを真に受けてしまい、子どもを虫歯にしてしまった。そのときもレメディを処方してくれる歯医者に行ったのですが、虫歯がレメディで治るはずもなく……。その後不本意ながら、標準的な治療をしてくれる歯医者へ行きました」 自然派ママ202212-1dホメオパシーを取り入れているという歯医者をネットで検索してみると「麻酔を使わず治療するのが信条」と書いてあるクリニックも。自然派も大変だな……と、筆者はそっと閉じしてしまった。

衝撃の光景が沼抜けのきっかけに

Mさんの違和感はまだまだ続く。Mさん夫は海外での仕事が多く、Mさん親子も幼稚園に上がるまでは赴任先で暮らしていた期間もあった。赴任先は南国だったため、現地の暮らしは「虫との戦い」でもあった。するとレメディに、虫がたかるのだ。そんなレメディを服用するわけではないので健康に関わる問題ではないが、その光景に衝撃を受けたと話す。 「レメディは容器に入っていたのにアリがびっしりたかっていたのを見て、ああやっぱり砂糖玉なんだなあ……と。もちろんレメディの主成分は砂糖だと知っていましたが、目の前でたかられると、ありがたい不思議な薬から、ただの砂糖玉にしか見えなくなってしまった(笑)」

違和感と優越感が交差する胸中

そこにあったのが一般的な医薬品である咳止めシロップだったとしてもおそらく同じ光景が広がったと思われるが、たまたま起こったその出来事が、Mさんには啓示のように感じられた。 「また、ホメオパシーだけならOKとしていると、いざというとき近所で頼れるお医者さんがいないのも地味に困った点です。日本ではわざわざ電車に乗って豊受クリニックへ行っていたので、子どもが本格的に体調を崩したときには困ってしまって。そうした不便や違和感が少しずつ積み重なり、その後“沼抜け”するきっかけのひとつになっていきます。でもそのときはまだ、私たちは子どものことを考えてるからワクチンとか打たせないしコンビニのお菓子もあげない。普通の子育てしてるママより考えてるし調べてるから偉いんだ、みたいな優越感に浸っていました」 <文・取材/山田ノジル>
山田ノジル
自然派、○○ヒーリング、マルチ商法、フェムケア、妊活、〇〇育児。だいたいそんな感じのキーワード周辺に漂う、科学的根拠のない謎物件をウォッチング中。長年女性向けの美容健康情報を取材し、そこへ潜む「トンデモ」の存在を実感。愛とツッコミ精神を交え、斬り込んでいる。2018年、当連載をベースにした著書『呪われ女子に、なっていませんか?』(KKベストセラーズ)を発売。twitter:@YamadaNojiru
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