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20代女性が“パパ活”をはじめた理由「奴隷のような生活から逃げるためだったんです」

―連載「沼の話を聞いてみた」― 「カルト宗教」と呼ばれる教団での奉公生活に疲弊していったKさん。当時は20代で、同年代の友だちが社会に出て稼ぎ、充実した生活を送る様子がたまらなくうらやましくなっていったという。
カルト体験談202302-3a

※写真はイメージです(以下同)

「私の場合は教団で働くといっても固定給料はなく、本の売り上げに応じた歩合制です。しかもそれすら、支部長の気分次第で減らされたり。朝から深夜まで活動をして、1カ月の収入は10万円弱。寮と呼ばれるマンション一室の維持費も支部が払ってくれるわけではなく、家賃、水道代、光熱費などは、入居しているメンバーと割り勘でした。精神を高め、人生の成功者になる。世界を救う。いくらそんな理想を夢見ても、奴隷みたいな生活がつづけば、次第に苦しくなってきます」

古参信者の説得で心折れる

そこでKさんはまず、同居している古参信者に相談した。同級生は社会に出て仕事をしてスキルを身につけ、休暇には海外旅行も行って楽しく暮らしている。それなのに自分はみじめで苦しい、とぶちまけた。 「古参信者には、こう返されました。あなたの友だちみたいなことをしていると生産性がない人生になる。そこを目指しても幸せになれない。もっと上の、別の次元を目指さなくてはいけないと。私は疲労で判断能力も鈍っていたんでしょうね。そう説明されると、納得してしまうんです」 それでも日々苦しさが募り、ある日寮へ戻らず、音信不通を試みた。しかし頼れる相手はいない。地元の友だちには「宗教」と言えば引かれてしまう。ひとり親である母は教団の信者ではないが、教団の教えに従い疎遠になっている。

頼れる人が誰もいない

身を隠すためには、教団とまったく無縁の人を探すしかない。数年間の薄給奉公生活で、金もない。そんなKさんが頼ったのはマッチングアプリだ。セーフティネットとしては不適切だが、誰もが適切な支援にすぐつながることができるわけではない。 「借金してカプセルホテルを転々としながらマッチングアプリで出会った人を頼り、泊まる場所を提供してもらいました。いまで言うところの、パパ活ですね。お金をくださいと積極的に言っていたので、逆に何ごとかと心配され、幸い危険な目に遭うことはありませんでした」
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パパ活をして、教団は抜けられるのか?
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自分が身内が友人が沼ったご体験談を募集中です。当連載における沼とは、科学的根拠のない健康法やマルチ商法、過激なフェムケアや自然派思想など、主に健康問題に関わるものにハマることを示します。お気軽に、山田ノジルnojiruyamada@gmail.com まで、ぜひご連絡ください(お返事に時間を頂戴する場合もあります)。
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