「いろいろ思うところはありましたが、きちんと謝っておいた方が良いかと、菓子折りをもって下の階を訪問しました。
すると、扉の向こうからなにか甲高い声が。それはマンションで禁止事項になっている、犬の鳴き声だったのです」

引っ越し当日から苦情がきたので、よほど正義感が強い人なのかと思いきや、こちらのマンションでは絶対禁止事項のペットを飼っていたことに、和田さんも驚きを隠せなかったようです。謝罪をしたものの、ペットのことを知られてはまずいと思ったのか早々に扉を締められてしまったそうです。
「本人たちは内緒のつもりのようでしたが、コンクリートマンションは高周波の音がよく響くんです。生活していても、下の階から甲高くキャンキャンと鳴く犬の声が響き渡っていて、おそらくお隣にもバレバレだと思います。自分はマナーを守らないのに、人の家には厳しいんだなと呆れてしまいました」
あまりうるさく言われるようなら、犬のことも指摘しようかと悩んでいましたが、その後、下の階のお子さんが成人して家を出たようで、その住人もマンションを売って引っ越していったそうです。
「正直ほっとしました。次の入居者はやはり小さい子どもが3人もいて賑やかそう。サバサバした人で、いまのところ全然問題ないです。ですがその下の階の人はさぞかし賑やかな音に悩まされているかもしれませんが…」
集合住宅は、もちろん騒音には気を付ける必要がありますが、人が住んでいる以上、生活音が出るのは多少仕方のないこと。ご近所は選べないので運のような部分もありますが、お互いを受け入れる気持ちで入居すると、快適に過ごせるのかもしれませんね。
―シリーズ「ご近所、悲喜こもごも」―
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<文/大杉沙樹>
大杉沙樹
わんぱく2児の母親というお仕事と、ライターを掛け持ちするアラフォー女子。昨今の情勢でアジアに単身赴任中の夫は帰国できず。家族団欒夢見てがんばってます。