男性ものの下着を身につけるのが生理的に耐えられない…自分は“普通の男性”だと思ってたのに
――うーん、なんとも複雑ですね。夢実さんのことを肯定しながらも、ご自身の感覚も大切にできる……。なんというか、対立しそうなこともそのまま受け入れられておられますよね。それってすごく大人というか、成熟した人間関係を築ける方なんだと感じました。
家族でも職場でも、人間関係は必ずしもすべて納得できることばかりではないと思います。「自分と相手は違う人間」と認めるのは、結構むずかしいこと。言葉にすると当たり前のことではありますが。今回うかがったお話に登場するパートナーさんの距離のとり方は、相手とのちょうどよい距離感を探れる感じがして、見習いたいです。
トランスジェンダーや、ノンバイナリーの人に話しを聞くと、「カミングアウトしないことは相手を騙しているようだ」と多くの人が語ります。
一度自分のアイデンティティに気づいてしまうと、周りを巻き込んでしまうとわかっていても、性別移行にブレーキはかけにくいものです。そうなると、元のままの生活ができないのは、ともに暮らすパートナーも同様です。だからこそ、何も言わないまま、そんな状況にパートナーを巻き込むのは「騙している」ように感じるのだと思います。
夢実さんが「離婚覚悟」でカミングアウトしたのは、まさに「変わりゆく自分に無理につき合わなくていい、イヤなら別れていいんだ」という選択肢を、相手に提示したのでしょう。
2023年は「トランスジェンダー」を報道で見聞きする1年でした。しかし一体どれだけの人が「トランスジェンダー」を実生活で見たことがあるのでしょうか。私はいま都内のスタバでこのコラムを書いていますが、周りの人は私を性的マイノリティ当事者とは思わないはずです。
実態が見えづらく、想像で語られることの多い「トランスジェンダー」。その声をこれからも聞きつづけていきます。
【佐倉イオリ】
1983年生まれ。幼稚園の頃には「女じゃない」という自覚がありがならも男性が恋愛対象だったことや「他の女の人も皆我慢しているのだろう」と考えたため、女性らしくなろうと試行錯誤。「女性らしくなりたい」「男性に見られたい」と揺らぎながら30歳で男性と結婚。30歳を過ぎてその葛藤が「普遍的な女性の悩み」ではないと気づき始めた。宣伝会議の「編集・ライター養成講座」41期生として執筆した卒業制作で、最優秀賞を獲得 twitter:@sakura_iori3
<文/佐倉イオリ>
パートナーへの想いと性別違和の狭間で
トランスジェンダーや、ノンバイナリーの人に話しを聞くと、「カミングアウトしないことは相手を騙しているようだ」と多くの人が語ります。
一度自分のアイデンティティに気づいてしまうと、周りを巻き込んでしまうとわかっていても、性別移行にブレーキはかけにくいものです。そうなると、元のままの生活ができないのは、ともに暮らすパートナーも同様です。だからこそ、何も言わないまま、そんな状況にパートナーを巻き込むのは「騙している」ように感じるのだと思います。
トランスジェンダーのリアルな生活
2023年は「トランスジェンダー」を報道で見聞きする1年でした。しかし一体どれだけの人が「トランスジェンダー」を実生活で見たことがあるのでしょうか。私はいま都内のスタバでこのコラムを書いていますが、周りの人は私を性的マイノリティ当事者とは思わないはずです。
実態が見えづらく、想像で語られることの多い「トランスジェンダー」。その声をこれからも聞きつづけていきます。
【佐倉イオリ】
1983年生まれ。幼稚園の頃には「女じゃない」という自覚がありがならも男性が恋愛対象だったことや「他の女の人も皆我慢しているのだろう」と考えたため、女性らしくなろうと試行錯誤。「女性らしくなりたい」「男性に見られたい」と揺らぎながら30歳で男性と結婚。30歳を過ぎてその葛藤が「普遍的な女性の悩み」ではないと気づき始めた。宣伝会議の「編集・ライター養成講座」41期生として執筆した卒業制作で、最優秀賞を獲得 twitter:@sakura_iori3
<文/佐倉イオリ>


