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男性ものの下着を身につけるのが生理的に耐えられない…自分は“普通の男性”だと思ってたのに

私は男性と結婚したあと、自分のアイデンティティが女性ではないと気づきました。1年前から男性ホルモンによる治療をはじめ、男性と見られる生活をしています。
佐倉イオリ202311

写真はイメージです(以下同じ)

治療に至るまでの経緯やパートナーである夫の反応をまとめたエッセイや、私と同じように結婚後に性別移行をした人に話を聞き、まとめてきました。その反響には「パートナーが可哀想」というものが必ずありました。裏切り行為と憤るものもありました。 たしかに私がこれまで聞いてきたケースでも、家族からカミングアウトされたときに戸惑いや混乱といった反応を見せる人が多いと感じています。私のパートナーもそうでした。 ではなぜ、しんどい思いを相手に強いるかもしれないカミングアウトを、性的マイノリティたちはするのでしょうか。

カミングアウト後も関係良好

一方で、葛藤や苦しみを伴わないカミングアウトもあります。婚姻後にパートナーに性別違和をカミングアウトした人にお話をうかがうシリーズ。今回、そんなケースをうかがいました。 カミングアウトの際に何のトラブルも起きず、パートナーとは新婚当時と変わらずラブラブだというトランスジェンダー女性――夢実さん(仮名、52歳)にインタビューします。 夢実さんは4年前、当時は男性として1歳年下の女性と結婚しました。それから長い時間をかけて、自分のアイデンティティに気づいていったといいます。

コスプレは、ふたり共通の趣味

――アイデンティティが女性だと少しずつ気づいていったというのは、どういうことでしょうか。 佐倉イオリ202311夢実:結婚自体がきっかけだったかもしれません。パートナーである妻とは、お互いにオンラインゲームが趣味で、その交流を通して知り合い、仲を深めていきました。ただゲームに興じるだけではなく、ふたりでキャラクターのコスプレも楽しんでいたんです。 最初、私は男性キャラクターだけだったんですが、次第に女性キャラクターにも扮するようになりました。そのうちに、女性の格好をすると不思議とストレスがなくなっていくことに気がついたんです。開放感というのか、スッキリする感じです。 そこから、コスチュームだけでなく、ヘアピンやメイク道具など、日常的に使えるアイテムを徐々に増やしていきました。そのころパートナーは、私のコスプレがよりかわいくできるよういろいろとアドバイスや手伝いをしてくれていたんです。 そんな彼女にも、日常的な「女装」のことは言えず、隠していました。結婚して一緒に暮らしはじめてからも、女装は隠せる範囲にとどめていました。
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「これが私」としっくり来る姿に出会うまで
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