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上京をきっかけに“崖っぷち”に陥った女性「近い境遇の人には、もっと国や自治体を頼ってほしい」

心の支えになったもの

崖っぷちの自我

『崖っぷちの自我』

――様々な挫折を経験したものの、ネット上で活動を続けられた理由や、当時心の支えになっていたものがあれば教えてください。 自我野:楽しみにしてくれている読者の方がいたからというのはあります。コミティアという同人誌即売会で、読者の方が「自我野さんは多分商業できると思うんですよ」と、言葉を選びながらすごく丁寧に伝えてくれたことがあったんですが、自分でも心のどこかで“できるよな”と思っていたので、「そう思ってくれてる人もいるんだな」と思って嬉しかったです。 あとは、友人に「私のマンガがヴィレッジヴァンガードにないのはおかしい!」って言った時に、同意してくれたのも心の支えになりました。

自分を責めすぎないことが大切

――同じように人生に悩み続け、解決策を求める人も世の中には多いと思います。そういう方へ何かアドバイスを送るとしたらどんな言葉を送りますか? 自我野:自分の中だけに非を探しているとしたら、それは無理があるよと言いたいです。自分の中だけに非を探すのが自責思考、相手ばかりに「お前が悪い」って思うのは他責思考、あとは誰も責めない無責思考があると思うんですが、その3つをほどよく同じ量持っているのが健康的な状態なんじゃないかなと。自責ばっかりだとどうしても病んでしまうので、自分だけが悪いと思わないことが大切だと思います。 ――3つのバランスを取るために、自我野さんが心掛けていることがありますか? 自我野:以前の私は実際に口や行動に出ない、自分の中で考えたことに対しても「今すごい嫌なこと考えちゃった」「こんなこと思っちゃだめだ」って遠慮してしまっていました。誰かのことを嫌いとか、そういうことすら考えちゃダメだって。 でも、友達に「頭の中は自由なんだよ」って言われてからは、「そりゃそうだよな」って、自分の頭の中だけは解放できるようになって、以前よりは責任のバランスが取れるようになりました。 ――最後に漫画を読んでくださる方へのメッセージをお願いします。 自我野:今、私と近い状況の人がいると思うとどうしても心配になってしまうんですが、家族や友達がいたとしても状況的・心情的にすぐに頼れそうにない人は国を頼るというのも選択肢に入れてみてほしいです。 私は今、自治体が運営している、困りごとを抱えた人のためのサポート施設を定期的に利用させてもらってるんですが、友達に頼った時と同じで、そこのスタッフの方に色々な悩みを聞いてもらったことは自分にとってすごく必要な経験でした。 私も最初はそうだったんですが、「自分がここを利用する権利があるのかわからない」と悩みながらの人もいっぱい来るし、むしろ多数派です。追い返されたりしないし、「〇〇市に困ってる30代女性がいる」と記録してもらえます。友達や家族など人に頼れない時は、国に頼るのもいいと思います。 <取材・文/瑞姫>
瑞姫
1994年生まれ。奈良県出身。エンタメメディアでの芸能ライターとしての経験を経て、フリーランスのライターに。主にエンタメ・トレンド系の取材・インタビューを中心に、恋愛コラムの執筆を行っている。フォロワー数4.5万人のTwitterでは恋愛・美容系について発信する、インフルエンサーとしても活動中。漫画と散歩と猫が好き。 Twitter:@mizuki32k
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