32歳女優と“年下夫”のキュンなやりとりに義母は冷たい視線。別の道を歩む2人は再会を果たす|NHK『光る君へ』
断ち切ったはずの思いが…
変わらず為時(岸谷五朗)に仕事はない。
まひろ(吉高由里子)はそんな父にかわって仕事に出ようとするが、身分が低いこともあってなかなか決まらない。世知辛い、生まれながらにしてこんなにも差があるのか、と思わずにはいられない。
そんなまひろの状況を聞きつけたのが倫子(黒木華)だ。倫子にとってまひろは大事な友人。友人を助けたいと思ったのであろう倫子は、自分の家で働いてみてはどうかと提案する。
が、まひろは頷かない。そりゃあそうだろう……倫子の家=道長がいるのだから。すでにほかで仕事が決まってしまった、と言って断るが、なんとはなしにまひろに、文の話を持ち出した倫子。
道長が大事に婿入り先まで持ってきている文がある、と。それは漢詩で書かれている……
まひろが送ったものである。
倫子としては、道長は一度も文をくれずに突然訪ねてきたような人だったので、そういう人だと思っていた。いや、思おうとしていたのかもしれない。でも、文がある事実。
まひろはまひろで、文を大事に持ってくれていたことは嬉しいだろう。しかし、まひろと会ったその足で倫子のもとに向かったのだということを知ってしまう。穏やかなシーンなのに、2人の女性の胸中を想えば、決して穏やかではない。
視聴者としては、道長はかなり感情的になって行動した結果だし、言ってみれば道長の行動の原動力はまひろだ。だからと言って、結ばれるわけでもなく……。なんて複雑なんだ、平安時代。
道長が愛しているのは?
まひろをじっと見つめる道長。それは一体どういう感情が渦巻いているのか……。
ふたりが見つめ合うシーン、その距離感。それだけで切なく、美しい、と感じてしまうのはここまでのふたりを知っているからだろう。
今回は道長と倫子、そしてもうひとり妻である明子(瀧内公美)とのシーンがあった。明子は父が政変で追い落とされ、兼家に対して恨みを持っていた。兼家を呪い殺したい。そんな暗い思いがある。
だからか、道長といるときも表情が重い。子ができた、と言ってもにこりともしない。道長も彼女を無理に笑わせようとする様子は見られない。冷たくもないが、優しくもない。
では倫子に対してはどうだろう。仕事での相談もしているし、娘もかわいがっているようにも見える。が、心の動きが大きくは感じられない。
なのに、まひろと会ったときの心の揺れ幅と言ったら……言葉にしていないのに、想いが伝わってきてしまう。そのまま一緒に逃げ出せたらいいのに、と思うけれど、できないのがふたりである。
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