
不安を残したまま、道隆は床に臥せっていた。妻の高階貴子(板谷由夏)に手を握られながら。
そして道隆は「わすれじの行末まではかたければ 今日をかぎりの命ともがな」と口にする。これは貴子の歌だ。道隆と結ばれ、新婚のころに詠んだもの。「いつまでも忘れないと言うけれど、先のことは分からない。その言葉を聞いて幸せな今日、いまここで命が終わればいいのに」という意味だ。ものすごく率直な歌でびっくりする。幸せの絶頂にいるときにもう今日死んでもいいです! と思うことはあるが、貴子は道隆との日々の中でそう感じていたのだ。それを最期のときが近づいているときに道隆が口にする。切ないやら、幸せやら……。道隆は関白としては眉を顰める人だったかもしれないが、人を愛することを大事にしていた人なのだろう。
道隆が亡くなれば、また新たな関白が擁立される。
伊周か、道兼(玉置玲央)か。汚れ役として動いていた道兼だが、憑き物が落ちたようにすっきりとしている。道兼が動かす世を見てみたい気がするが……。
<文/ふくだりょうこ>
ふくだりょうこ
大阪府出身。大学卒業後、ゲームシナリオの執筆を中心にフリーのライターとして活動。たれ耳のうさぎと暮らしている。好きなものはお酒と読書とライブ