いきなりAぇ! groupのおもしろさについて紹介しましたが、音楽面のクオリティの高さも特徴です。
その裏には、22歳の佐野さんの存在があります。佐野さんは、実は小学生の頃からミュージカルスクールに通い、劇団四季の『ライオンキング』でヤングシンバ役を務めていました。幼い頃から仕事をしていたからか、グループ最年少にもかかわらず、ほかの4人に負けない安定感があります。
グループ内ではドラム担当の佐野さんですが、ピアノ、ギター、サックスもできるうえに、高校の声楽科、音楽大学の作曲科を卒業しています。2021年8月放送の『生放送で満点出せるか100点カラオケ音楽祭』(TBS)で「相対音感がある」と明かしていました。同番組内でSUPER EIGHTの安田章大さんが「(佐野さんが歌うと)音符がキラキラしている」と語るなど、音楽をよほど好きなのだと思うと同時に、きっと音楽も佐野さんのことが好きなのだろうと感じます。
その後はさらに才能をあらわし、さまざまな歌番組で賞金総額510万円を獲得。このことについて、ラジオ『Aぇ! groupのMBSヤングタウン』(MBS)で正門さんが「生涯年収に差がつき始めている」と嘆くシーンもありました。
とはいえ、ドラムは最初からできたわけではなく、関西ジュニア時代にいきなり「ドラムできる?」と言われて猛練習した結果だそうです。
デビュー前から歌のうまさに定評がある末澤さんや草間さん、事務所内No.1ギタリストを目指す正門さん、「本職はライブ」と語る小島さんがいるAぇ! groupは、音楽の部分で妥協することは決してない。4人にとって佐野さんは頼りになる最年少であり、そんな兄貴たちの熱い期待も、佐野さんが才能に驕らず努力し続ける理由なのでしょう。Aぇ! groupが最もこだわる音楽面を支えているのは、間違いなく佐野さんだと言えます。
と同時に、佐野さんは『ラヴィット!』(TBS)や『千鳥の鬼レンチャン』(フジテレビ)などテレビに引っ張りだこで、Aぇ! groupのバラエティ担当でもあります。
2024年2月に結成5周年を迎えたAぇ! groupは、今の勢いからは考えられないほどの苦難を乗り越えてきました。振り返るだけで辛いくらいですが、そんなドラマがあって目が離せなくなるのもまた彼らの魅力です。

ユニバーサル ミュージックのリリースより
そもそもAぇ! groupは、SUPER EIGHTの横山裕さんがきっかけで2019年に誕生したグループ。たまに「寄せ集めのグループ」と言われるほど、ファンにとっても意外なメンバーでした。結成前、末澤さんと草間さんは仕事がなくて退所するか悩んでいたこともあったそうで、特に末澤さんは、あらかじめメンバーに「30歳がデビューのリミット」と伝えていたことを最近になって明かしています。
関西ジュニア時代に“バンド組”として活動していた正門さん、小島さん、佐野さんも、同じくパッとしない日々を送っていました。つまり、デビュー前どころかグループ結成前から、それぞれが何年ももどかしい思いをしてきたということです。
グループ結成後、“6人で”デビューを目指しながらそれぞれ得意分野を武器に仕事を獲得していきますが、まもなくコロナ禍に。ライブが中止になり、冠番組もリモート撮影になるなど、彼らを悩ませます。それでも持ち前のおもしろさとアイデア力でファン向けに動画を配信し続けました。
コロナ禍が落ち着いてからは、関西を中心にレギュラー番組やラジオを持ち、ドラマ、映画、舞台、ソロコンサート、演劇プロデュース、全国ツアー、フェス出演と、目が回りそうなほどの活躍ぶり。大声でボケとツッコミをする彼らをお茶の間でも見られるようになり、「デビューが近いのでは」という声が聞こえ始めた頃、事務所自体が存続の危機に見舞われます。
のちにYouTubeチャンネル『よにのちゃんねる』コラボ時に、小島さんが「あの頃、デビューが決まったことよりも先に、デビューが延期になったことをニュース記事で知った」と話しており、当時の彼らの辛さは計り知れません。
極めつけは、2023年末にメンバーが一人脱退したこと。前兆は一切なかったため、今でも傷が癒えていないファンの悲しみがSNSで見られます。それでも彼らは負けず、勝つことを諦めず、やっとの思いでCDデビューを掴みました。Aぇ! groupから「諦めないこと」の大切さを学んだ人は非常に多いと思います。