審査員に松本人志が不在の賞レースといえば、今年の『キングオブコント』(TBSテレビ)も同様です。5名の審査員でジャッジする方式に変わった2015年以降、2023年まで審査員席に必ず松本人志の姿がありました。
2024年のキングオブコントでは、新たに2014年のチャンピオンであるシソンヌのじろうが審査員に加わり、松本人志に近い立ち位置に2009年チャンピオンである東京03の飯塚悟志がスライドしていました。
2024年チャンピオンのラブレターズに対し、今のところ「松本人志がいなかったから」という理由で、優勝に異論を唱える風潮はありません。だとすれば、M-1グランプリでも同様の状況になる可能性は極めて高いと思われます。
出場者のメインが松本人志信者世代であった時代は、すでに終焉を迎えつつあります。「誰に憧れて芸人になった?」という質問に、松本人志の名前を真っ先に挙げる出場者は、もうだいぶ少なくなったのではないでしょうか。
同時に、視聴者にもダウンタウン全盛期を知らない世代が増えてきています。彼が笑いのカリスマであることは理解しているものの、リアルタイムに笑わせてくれた芸人という感覚は薄まっているのではないでしょうか。
さらに言えば、今は一億総審査員時代とも揶揄(やゆ)されるほど、視聴者一人ひとりが審査の目を持っています。審査員ですら視聴者側に審査されるようなムーブすらあるほど。

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M-1グランプリ開始当初は、まだ視聴者が面白い“偉い人”に審査を任せてる側面が強かったように思います。でも今の視聴者たちは、すでに当時とは違う賞レースの楽しみ方を身に着けているのです。
証左として、2022年よりスタートした『THE SECOND』(フジテレビ)の全客席審査は受け入れられていますし、10月にAmazon Prime Videoで配信された『最強新コンビ決定戦 The ゴールデンコンビ』も同様の審査方法で不満の声は挙がっていません。
ここまでくると、M-1グランプリの審査員にも絶対に松本人志がいる必要性はないという結論に達してしまいます。